佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『カープ島サカナ作戦』(椎名誠・著/文春文庫)

 どうして子供たちは夕タカワないのだ! とこの手の暗い痛ましいニュースを知るたびに、ぼくは単純にじだんだふんでそう思うのである。
 とにかく死ぬ気になったらなんでもできる。
 いじめ殺されそうな者が殺される前に相手をぶっ叩くのはまったくの正当防衛なのだ。
 __なぜそうしないのか。答えはある程度出ている。いまの世の中が喧嘩を悪と決めつけているからである。勉強する子はよい子で、ヒトを殴る子はとんでもない悪い子供、というふうに何十年もかけて方向づけ、子供らに喧嘩を一切させなくしてしまった。今の子供たちを永い時間よってたかって喧嘩のやり方はおろか、喧嘩という人生のトラブルの最終解決法の存在すら知らない人間にしてしまった。追いつめられた時に、追いつめる相手を痛めつけて危機から逃れる、というもっとも効果的な最後の方法を知らない子供たちがそのつまらない大人たちのおためごかしルールのためにむざむざ死んでいくのである。

                                            (本書P183より)

 

 

カープ島サカナ作戦』(椎名誠・著/文春文庫)を読みました。

 

まずは出版社の紹介文を引きます。 

「白い馬」の上映ツアーで全国を飛び回りつつ、テンプラとカレーライスとスキヤキの研究に励む著者の日常エッセイ集。待望の7冊目。ある日力を抜いて南海の魚になる。波がくねり、サメが笑ってもやる時はやるのだぁ。

 

 

 

  

 私の大好きなシーナ氏の「赤マント・シリーズ」なのだ。例によって特段役に立つ話など無い。島に行く。ビールを飲む。魚を食う。魚がカツオならばなお結構。本を読む。昼寝する。誠に結構ではないか。文句なし。「近頃ちょっとシリアスになりすぎているな、オレ」といった状況下で読むと大変よろしい。身体の力が抜け、脳のねじが緩み、バランスが取れてくる。生きて行くにはバランスが大切だ。

 おおかたはくだらない(失礼)が、しかし愉快な日常が書き連ねてあるのだが冒頭に引用したようにシーナ氏の考えをストレートに鋭く書いた頁もある。誠に結構ではないか。文句なし。

 シーナ氏のエッセイを読むのは、シーナ氏のブログを読むようなもの。氏の日常を覗くことによって、氏の生き方、考え方に共感するのである。

 椎名氏が読んだという『アブラコの朝 - 北海道田舎暮らし日記』(はた万次郎・著/集英社)と『ハイペリオン』(ダン・シモンズ:著/海外SFノヴェルズ)を発注。また、未読積読本が増えてしまう。こまったことだ。