『車のいろは空のいろ 白いぼうし』(あまんきみこ・著/北田卓史・絵/ポプラ社)を読みました。図書館本です。
まずは出版社の紹介文を引きます。
男の子がぼうしの中につかまえたチョウをにがしてしまった。松井さんがチョウのかわりに思いついたものとは…心温まる短編集の傑作。
空いろの車を町で見掛けたら、きっとそれは松井さんのタクシーです。手をあげて、車の座席に座ったら、「お客さん、どちらまで?」 それが不思議な旅の始まりです。1968年刊の新装版。
先日読んだ『活版印刷三日月堂_海からの手紙』(ほしおさなえ・著/ポプラ文庫)の一篇「ちょうちょうの朗読会」の中に出てきた児童書。気になって図書館で読んでみました。8篇のおはなしが収められています。
- 小さなお客さん
- うんのいい話
- 白いぼうし
- すずかけ通り三丁目
- 山ねこ、おことわり
- シャボン玉の森
- くましんし
- 本日は雪天なり
もちろん児童書ですからそれなりの物足りなさはあります。いくら素材にこだわり、一流の技術をもって調理しても、お子様ランチはお子様ランチ、大人が味わうには限界があろうというもの。しかし決して子供じみておらず、拙くもない。深く考えさせられるところ、しみじみ噛みしめるように味わう場面があります。
教科書にも取り上げられているという「白いぼうし」は表題作でもあるだけになかなか良い。「すずかけ通り三丁目」はなんとも言えない温かみと哀しみがありすばらしい。しかしそれよりも私が存外気に入ったのは「山ねこ、おことわり」でした。これは収穫でした。偏見から解き放たれて通い合う心が素敵です。