佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『車のいろは空のいろ 白いぼうし』(あまんきみこ・著/北田卓史・絵/ポプラ社)

『車のいろは空のいろ 白いぼうし』(あまんきみこ・著/北田卓史・絵/ポプラ社)を読みました。図書館本です。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

男の子がぼうしの中につかまえたチョウをにがしてしまった。松井さんがチョウのかわりに思いついたものとは…心温まる短編集の傑作。

空いろの車を町で見掛けたら、きっとそれは松井さんのタクシーです。手をあげて、車の座席に座ったら、「お客さん、どちらまで?」 それが不思議な旅の始まりです。1968年刊の新装版。

車のいろは空のいろ 白いぼうし (新装版 車のいろは空のいろ)

車のいろは空のいろ 白いぼうし (新装版 車のいろは空のいろ)

 

 先日読んだ『活版印刷日月堂_海からの手紙』(ほしおさなえ・著/ポプラ文庫)の一篇「ちょうちょうの朗読会」の中に出てきた児童書。気になって図書館で読んでみました。8篇のおはなしが収められています。

  1. 小さなお客さん
  2. うんのいい話
  3. 白いぼうし
  4. すずかけ通り三丁目
  5. 山ねこ、おことわり
  6. シャボン玉の森
  7. くましんし
  8. 本日は雪天なり 

 もちろん児童書ですからそれなりの物足りなさはあります。いくら素材にこだわり、一流の技術をもって調理しても、お子様ランチはお子様ランチ、大人が味わうには限界があろうというもの。しかし決して子供じみておらず、拙くもない。深く考えさせられるところ、しみじみ噛みしめるように味わう場面があります。

 教科書にも取り上げられているという「白いぼうし」は表題作でもあるだけになかなか良い。「すずかけ通り三丁目」はなんとも言えない温かみと哀しみがありすばらしい。しかしそれよりも私が存外気に入ったのは「山ねこ、おことわり」でした。これは収穫でした。偏見から解き放たれて通い合う心が素敵です。