佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『ザ・プロフェッサー』(ロバート・ベイリー:著/吉野弘人:訳/小学館文庫)

『ザ・プロフェッサー』(ロバート・ベイリー:著/吉野弘人:訳/小学館文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

法と正義、師弟愛を描く胸アツ法廷エンタメ

アラバマ大学ロースクールの老教授トム。学生時代に同大フットボール部で全米チャンピオンとなり、卒業後は弁護士となるも恩師の導きで再びこの大学で教鞭を執り、法学者として順風満帆な人生を過ごしてきた。しかし今は愛する妻を失い、友人の裏切りから不名誉な形で職を追われ、自身も癌を患っていた。絶望の中、彼の前に現れたのはかつての恋人。娘夫妻と孫を大手運送会社のトラック事故で失った彼女は、トムに「法廷で真相を知りたい」という。ある確執から絶縁状態にあった教え子の新米弁護士リックを適任と感じた彼は、弁護の橋渡しをし自分は故郷に身を隠すが、被告である運送会社の隠蔽工作は裁判を予想外の方向へ導き……。
真実と悪、師弟愛、スポーツと友情……挫折を繰り返しながらも最後まで「正義」を諦めない登場人物たちの矜持に胸が熱くなる、痛快法廷エンタテインメント!

 

ザ・プロフェッサー (小学館文庫)

ザ・プロフェッサー (小学館文庫)

 

 

 うまいなぁ。人物の登場させ方なんて、その人物の人となりを端的に顕すエピソードで読み手の心を鷲づかみする。悪人はあくまでいやらしく、善人にはアメリカらしい心意気を持たせて。これなんですよね。法と正義をテーマとしたアメリカ法廷ものの魅力は。

 何度もこれで万事休すかと思わせるピンチも、不屈の闘志と粘り、そして並外れた才気で乗り切る。そして最後には人としての良心と勇気、そして邪なものに屈してなるものかという矜持が大逆転劇を演出する。こちらが恥ずかしくなるほどアメリカらしいかたちのスリラーである。でもそれが良いのだ。素直にヒーローに拍手喝采をおくり、ヒールにざまあみろと溜飲を下げる。あぁ~、カ♡イ♡カ♡ン♡!!

 なお、本書の続編『白と黒のはざま』がすでに今年の初めに同じく小学館から刊行されている由。小学館さんありがとう。早速読もうと思います。

 

黒と白のはざま (小学館文庫)

黒と白のはざま (小学館文庫)