佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『これは経費で落ちません!9 ~経理部の森若さん~』(青木祐子:著/集英社オレンジ文庫)

2022/04/10

『これは経費で落ちません!9 ~経理部の森若さん~』(青木祐子:著/集英社オレンジ文庫)を読んだ。

営業部は水面下での争いが絶えず、広報課は後進の育成で騒がしい。以前トナカイ化粧品営業部員だった亜希は、合併で天天営業部員になっても意欲旺盛。成績トップを目指して精力的に仕事をこなし、上司との交流にも積極的だ。一方、沙名子は山崎から食事に誘われる。遠距離恋愛中の太陽とのことだと思い了承したけれど、山崎が切り出したのは社内の派閥のことで…?

性別、年齢、派閥。社内は今日も面倒です。トナカイ化粧品との合併以来、天天コーポレーション営業部は水面下での争いが絶えず、広報部は後進の育成で騒がしい。経理部は新戦力の加入で、少しずつ人手不足が解消されつつある。そんな中、東北への出張申請をしに沙名子のもとへやって来たのは、山野内亜希、34歳。以前トナカイ化粧品営業部員だった亜希は、合併で天天営業部員になっても意欲旺盛で、成績トップを目指して精力的に仕事をこなし上司との交流にも積極的だ。一方、沙名子は山崎から食事に誘われる。遠距離恋愛中の太陽とのことだと思い了承したけれど、山崎が切り出したのは社内の派閥のことで……?30歳を目前にした沙名子は、性別、年齢、恋愛、派閥……さまざまなしがらみにどう向き合う?

 

 

 4月に入ってから読んだ本シリーズも3冊目を数えた。すぐにも「10」を読みたい。というのも本巻の終盤の情勢、すなわちもうすぐ国税局の税務調査がはじめて天天コーポレーションに入るという緊急事態で終わっているからである。なにやら不穏な情勢であり、何が出てくるか判らないという読者の野次馬根性をくすぐってむずむずするのだ。本巻が先月23日発刊の最新刊なので「10」を読めるのはおそらく一年近く先だろう。しかたない。だまって待つこととしよう。

 それにしても終盤の沙名子と太陽のホテルの一室での場面。沙名子は眠りに落ちようとするまどろみのなかに聴いた太陽のひと言を眠ってしまって聴かなかったことにした。すごいなぁ、青木祐子氏。私が書き手ならとてもそんなことは出来ない。ストーリーテラーとしては、今は沙名子と太陽の関係を進展させたくなかったか。次巻、あるいはその次あたりで青木氏の意図が明らかになるかもしれない。そんなことも楽しみに時間を待つ。