佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『雪とパイナップル』(鎌田實:著/唐仁原教久:画/集英社)

2022/07/23

『雪とパイナップル』(鎌田實:著/唐仁原教久:画/集英社)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

心があたたかくなるノンフィクション絵本です。チェルノブイリ放射能汚染で白血病になった少年アンドレイと、日本からきた若い看護師ヤヨイとの心の交流を、ベラルーシの美しい自然を背景に描いています。読む人の涙と感動をさそう作品!
チェルノブイリ放射能汚染で白血病になった少年と、日本からやって来た若い看護師との心の交流…それは8000キロを越えて生まれた小さな希望の物語でした。「人間は理解しあえる。」子どもたちに命の切なさ、大切さを伝える絵本です。

 

 

「ひとりの子どもの涙は、人類すべての悲しみより重い」。モスクワのソ連科学アカデミーのクズネソフ教授がドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にあるこの言葉を引いてチェルノブイリ原発事故の影響で白血病に苦しむ少年の治療を助けて欲しいと切望されたことからこの物語(ノンフィクション)は始まる。

 私はそうした修辞を好きではない。「人ひとりの命は地球より重い」とかそういう感情過多な表現が鼻につくのだ。しかしそんなことはどうでも良い小さなことだ。この絵本に書かれた実話は人間の善なる部分をストレートに表しているし、親が子を思う気持ちもひしひしと伝わってくる。だれもが涙せずにはいられないだろう。

「許すこと、感謝すること、ほほ笑みあうこと」。私も残る人生それを忘れずに生きて行ければと思う。