佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

神戸「正論」懇話会、居酒屋『魚菜 きし』

2024/07/26

 正午から『神戸「正論」懇話会』第24回後援会に出席。今日の講師はNTTチーフ・サイバーセキュリティー・ストラテジストの松原実穂子氏。演題は「ウクライナ・台湾から学ぶセキュリティの課題」であった。

 講演内容は2014年のロシアによるクリミア併合の時の苦い経験から、ウクライナがその後の数年間でサイバー防御能力の強化を進め、2022年2月の侵略以降の侵略においては一定の成果が出ていることから、我が国においても日頃から有事を想定しサイバーセキュリティーに関する能力強化に努めていけば必ず役に立つということであった。

 私も最近日本において数々のランサムウェアによる被害が報告されているのを知っている。とりわけ出版大手のKADOKAWAが大規模なサイバー攻撃を受け、子会社のドワンゴが運営する「ニコニコ動画」が未だにサービスに支障が出ているといったことは身近なこととして深刻に受け止めていた。

 興味深く聴かせていただいたのはウクライナのサイバーセキュリティー強化の手段としての「スレット・ハンティング」と「レッドチームの活用」であった。「スレット・ハンティング」は直訳すれば”脅威を狩る”ということ。自組織に既に脅威が存在することを前提として、セキュリティアナリストの知識や、ネットワーク上の各種機器のログなどを活用・分析して潜在的な脅威や侵害を洗い出す手法らしい。また「レッドチーム」は演習において実際の攻撃者を想定した攻撃を行うチームのことで、攻撃者目線での有意な演習が行えるという。ロシアからの侵攻からの防衛戦争において「銃を持たない戦いがあるからこそ未だ占領されずにいる」と仰った言葉は重い。なるほど我が国の方針である専守防衛は本土決戦と同義であり、いざ有事になる前の対応は喫緊の要事といえるだろう。おそらく防衛省などでそうした対策は密かに進められているのだろうが、おおかたの政治家を含め一般国民ののほほんと生ぬるい雰囲気はおよそ危機感の欠如したお花畑であろう。松原氏の仰る「今すぐサイバー防御能力を向上すべき」の言葉に深く頷いた。

 出席者には松原氏の御著書『サイバーセキュリティ: 組織を脅威から守る戦略・人材・インテリジェンス 』(新潮社)と『ウクライナのサイバー戦争』(新潮新書)が贈られた。ありがたく読ませていただき、感想などまたこのブログに書かせていただこうと思う。

 明日も神戸に用事があるので、今日は神戸市内にホテルを取った。当然夜は居酒屋に行く。前々から気になっていた県庁近くにある『魚菜 きし』の暖簾をくぐってみた。お通しの酒肴6種、注文した「蛸の旨い肝」「白身魚の昆布締め」「メバルの煮付け」すべて日本酒にばっちり合うものばかり。蛸は店主自ら明石で釣ってこられたのだとか。また昆布締めは鯛であったが、身の中に昆布締めに使った昆布の佃煮をいれてあり、これまた美味。最後のメバルに至っては、これほど酒に合うかと陶然たる心もちになる味であった。酒は「桂月」を冷やで一合、燗で一合、「神亀」を燗で一合、都合三合いただいた。いやぁ、おいしゅうございました。リピート確定のお店です。