佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

「シリウスの道」(藤原伊織著・文春文庫)を読了

 「おおいぬ座」の「シリウス」は地球からおよそ8.6光年の距離にあり、太陽を除くと全天で最も明るい恒星である。その位置が微妙に揺れ動くことから、伴星の存在が早くから言われ1862年に初めてその存在が望遠鏡で確認された。(シリウスB、子犬ともいわれる)そのシリウスBは地球の3倍程度の大きさで、質量は太陽と同じくらいあるのでなんと密度は太陽の10倍という、途方もない星である。二つの星が釣り合ってぐるぐる回っている近接した2連星である。星の片方が車の大きさとしたら、もう一つはピンポン球くらいの大きさしかない。しかし、その二つの星は重さが同じで引力が釣り合っている。
白色矮星に分類され、星の一生では終わりの時期に入っている。といってもあと何十億光年もかかるのだが・・・・・

 久しぶりに藤原伊織の小説を読んだ。氏の作品を最初に読んだのは「テロリストのパラソル」であった。これは良かった。すばらしい作品で私は即、藤原ファンになった。以来、「ひまわりの祝祭」「てのひらの闇」「ダックスフントのワープ」「雪が降る」「蚊トンボ白鬚の冒険」と氏の本を追いかけた。しかし、私にはどうしても「テロリストのパラソル」を追い求める気持ちがあり、それを超える作品が出てこないものかとの想いが残っていた。今日読み終わった「シリウスの道」は「テロリストのパラソル」のにおいを感じさせる小説だ。小説中に「テロリストのパラソル」で登場したバーが登場する。そのバーで交わされる会話も「テロリストのパラソル」で語られた話がベースになっており、藤原伊織ファンにはたまらない。
 主人公、辰村祐介がやたらカッコイイ。amazonでの紹介文を引用する。

東京の大手広告代理店の営業部副部長・辰村祐介は子供のころ大阪で育ち、明子、勝哉という二人の幼馴染がいた。この三人の間には、決して人には言えない、ある秘密があった。それは…。月日は流れ、三人は連絡をとりあうこともなく、別々の人生を歩んできた。しかし、今になって明子のもとに何者からか、あの秘密をもとにした脅迫状が届く!いったい誰の仕業なのか?離ればなれになった3人が25年前の「秘密」に操られ、吸い寄せられるように、運命の渦に巻き込まれる―。著者が知悉する広告業界の内幕を描きつつ展開する待望の最新長編ミステリー。

シリウスの道 上 (文春文庫)

シリウスの道 上 (文春文庫)

シリウスの道 下 (文春文庫)

シリウスの道 下 (文春文庫)


 読後感は、まず「物語としておもしろい。ストーリー展開がスピーディーで飽きさせない。どんどん引き込まれていく感じ」である。
 主人公・辰村が渋くてカッコイイ。脇役に魅力ある人物がそろっている。
 良いミステリーの要件がすべてそろっている。一気に読み終えた。
 テレビドラマ化するとすれば配役は
  主人公 辰村祐介 → 佐藤浩市
  主人公の女性上司 立花英子 → 真矢みき
  主人公の幼なじみ 明子 → 中江有里    だな・・・・