『蒼穹の昴』(浅田次郎:著/講談社文庫)第1巻~第4巻を読み終えた。
浅田氏の巧さをもってすれば当然のことながら、読ませます、物語に引き込まれます、泣かせます。
時は清朝末期。
李春雲(春児)は赤貧の糞拾いの少年である。路傍の牛馬の糞を拾って燃料として売ることで母と妹の生計を支えている。
梁文秀(史了)は春児と同郷の富商の次男坊。春児は史了を兄のように慕っている。
ある日、占い師の老婆白太太が、史了は科挙に合格して宰相になり、春児はあまねく天下の財宝を手中に収むるであろうと予言します。春児は、占い師の予言を信じ、科挙を受験する史了に従って都へ上った。
史了は見事、光緒十二年の科挙(進士)を主席で合格し、光緒帝に仕える。一方、春児は貧しい家族のために浄身し、宦官となって西太后の元に出仕する。 折しも清朝内部では、西太后を戴く后党と、西太后を除いて皇帝の親政を実現しようとする帝党とに分かれて激しく対立していた。西太后に仕える春児と、光緒帝に仕える史了。幼なじみのふたりをめぐる運命は、滅びゆく清朝の運命とともにめまぐるしく変わり、絡まり合う。果たして、占い師白太太の予言どおりとなるのか・・・・・
李春雲も梁文秀も実在の人物ではない。しかし、モデルとなったらしい人物はあるようだ。史実に基づきつつも、フィクションを交え、抜群の物語を構築している。いつもながら浅田氏の書きぶりには感心するしかない。氏の小説の中でも最高峰と言えるだろう。お奨めの小説です。