佐々陽太朗の日記

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『江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた』 (古川 愛哲:著 講談社プラスアルファ新書)を読む


『江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた』を読んだ。

江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実 (講談社+α新書)

江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた サムライと庶民365日の真実 (講談社+α新書)

私の感想をハードボイルド風に表現するとこうだ。

歴史の真実なんて、所詮、それらしい嘘の集積でしかないのさ、フッ・・・

読んでみて、「へぇ〜」という驚きの連続。

  江戸の街は不倫三昧
  商人の馬鹿息子は跡を継げない(商家は女性相続)
  「大奥総取締役」などという役職はない

この本を読むと、時代劇などを視て当たり前だと思っていた江戸の様子が実はそうではなかったことを知ることになる。

興味深い話は他にも多数ある。例えば、池波正太郎の小説、鬼平犯科帳で「火付盗賊改方長谷川平蔵である。神妙にいたせ」とカッコイイ台詞を曰う鬼の平蔵の話。

  鬼平も実は四百石の旗本に過ぎず、その生活は困窮を極め、
  石川島人足寄場の経営維持のため米相場から銭相場まで手を出し
  お役御免となった。

なるほど、私が池波正太郎なら鬼平にこんな台詞を吐かせますね。

「火付盗賊改の役高だけじゃ、百四十人もの無宿者の面倒はみられねえんだよ。だがよ、そんな泣き言を言ったってはじまらねえ。泣き言は女子供にまかせりゃいい」


こんな話もありました。

  同心はでっち上げで無実の罪を人にかぶせ報賞金を稼いだ。


おいおい同心さんよ、みっともねえことをやってんじゃねえぜ。

西洋の探偵スペンサーはこう言ったんだぜ。

「俺は金の為にやることより、金の為にやらないことの方がずっと多い」 
                          ロバート・B・パーカー『初秋』


これが男の矜持ってやつだ。