私にとって、料理とは祈りそのものだ。
(p231)
『食堂かたつむり』(小川糸/著・ポプラ文庫)を読みました。
裏表紙の紹介文を引きます。
同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。巻末に番外編収録。
このところ美味しそうな本を読むことが多い。
『つむじ風食堂の夜』 http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=111930
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=122362
どちらも吉田篤弘氏の小説だ。もちろん吉田篤弘氏と小川糸氏はテイストが違う。
しかしどちらの小説にも共通するのはその物語に流れているある種の「優しさ」。
それは誰かのために料理を作るという行為が人との繋がりを希求しているからだろう。
そして逆にそうして作られた料理をいただくということによる癒しがそこにあるからだろう。
この小説を読むとゴールデンウィークは家にいて、スープをコトコト煮込みながらぼうっとしてみようかなんて気になります。
それは『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を読んだときの感覚に似ています。
あぁ・・・「ラプサンスーチョン」が飲みたい。
「ザクロカレー」を食べたい。
雪原にに咲く「スノードロップ」が観たい。
そしてなにより「ジュテームスープ」を飲んでみたい。