佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

リオ 警視庁強行犯係・樋口顕

5月16日

リオ 警視庁強行犯係・樋口顕

俺はアメリカの心理学というやつをあまり信用していない。あの国はベトナム戦争以来めちゃくちゃになった。麻薬と犯罪。離婚、アル中、ワーカホリック……。病的な健康ブーム、禁煙運動にセクハラ……。何かあるとすぐに訴訟を起こす。国中が神経症なんだ。そう言う状態のときは、ちょっとした感覚のずれが、重大な心理的症状に見える。心理学者が新しい用語を考える。そうすると、また新しい病気がひとつ増えるわけだ。

                                 P361より

IMG_2261

『リオ 警視庁強行犯係・樋口顕』(今野敏/著・新潮文庫)を読み終えました。
警視庁強行犯係・樋口顕シリーズの第一弾です。第三弾「ビート」、第二弾「朱夏」、そして本書と逆に読んでしまいました。やはりシリーズものは回を重ねるほどに完成されていくのだなあということが逆に読んでみて返ってよくわかります。主人公の樋口顕は決してヒーロータイプではありません。ワーカホリックぎみな中年男、妻を愛しているが多くの日本人家庭と同じく愛情表現は控えめ、というより愛情表現は皆無に等しい。一人娘を愛しているが娘が自分をどう見ているか気になる40歳。仕事上も上司や部下の自分に対する評価がどうなのかが気になり、ときどきそんなことをうじうじ気にしている自分がイヤになる。そんな強行犯係係長(ハンチョウ)樋口顕が普通にカッコイイ!

裏表紙の紹介文を引いておきます。

「彼女が容疑者だとは、思えない」警視庁捜査一課強行犯第三係を率いる樋口警部補は、荻窪で起きた殺人事件を追っていた。デートクラブオーナーが殺害され、現場から逃げ去る美少女が目撃される。第二、第三の殺人が都内で起こり、そこにも彼女の姿が。捜査本部は、少女=リオが犯人であろうという説に傾く。しかし、樋口の刑事の直感は、“否”と告げた。名手が描く本格警察小説。

 

  

 

ウェルズの本棚booklog.jp