佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

西野さんありがとう

 いよいよ今日、FIFA Club World Cup Japan 2011 が開幕する。

 開幕を目の前にして私の心にあるのは、申し訳ないことだが開催国・日本代表の柏レイソルではない。あるいはバルセロナでもメッシでもない。私の心のあるのはGAMBA大阪であり、そのGAMBA大阪を今季まで10年間率いてきた西野朗氏なのだ。3年前のFIFAクラブワールドカップ・ジャパンでのマンチェスターU戦での試合を私は決して忘れない。世界一の実力を持つマンUとガンバの差は歴然としており、誰の目にもガンバに勝ち目はほとんど無かった。これほどの実力差があれば、通常取り得る戦略はとにかく守りに守って最少失点に抑え、一瞬の隙をねらったカウンター攻撃に勝機を見いだすというものだろう。実際にそうでもしなければ勝てるものではない。しかし、ガンバの試合運びは全く違っていた。王者マンUを相手にあくまでも攻め続けたのだ。当然の帰結としてガンバは5点を失って敗退した。しかし同時にあのマンUから3点を奪取したのだ。もちろんマンUとて1点を争う試合展開ならこれほどの失点を許さなかっただろう。そこに甘さがあったことは否めない。しかし、生半可な攻撃で当時のマンUから3点を取れるものではないということは誰も否定しないだろう。

 

クラブワールドカップ ガンバ大阪 VS マンチェスターU

 

 西野朗氏はガンバを超攻撃的サッカーのチームに育て上げてくれた。決して鉄壁の強いチームではない。格下チームにも失点を重ね負けることもある隙のあるチームだ。しかし、私は失点をおそれ守りに軸足を置くサッカーよりも、2点取られれば3点取りかえすスピリッツを持つサッカーが好きだ。そうしたサッカーが美しいと思う。西野監督の好きな選手は元オランダ代表選手で、後に代表チームの監督も務めたヨハン・クライフだという。

 

『美しく敗れる事を恥と思うな、無様に勝つことを恥と思え』

 

 ヨハン・クライフのあまりにも有名な言葉。おそらく西野氏はガンバを美しく勝利するチームにしたかったのだ。あるいは美しく敗れるチームに。

 

 西野氏は今季限りでガンバ大阪の監督を退く。2002年、下位に低迷していたガンバ大阪の監督に就任して以来、数々の輝かしい戦果を残してくれた。2005年J1リーグ優勝、2007年ナビスコカップ優勝、2008年AFCチャンピオンズリーグ制覇、天皇杯は2008年、2009年と連続制覇を成し遂げた。西野氏が監督を退任しても、氏がガンバ大阪に植え付けた攻撃スピリッツが今後もチームに生き続けることを願ってやまない。

 

西野さんありがとう。