佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

片腕をなくした男

プロパガンダの黄金律を忘れたのか」 チャーリーは間髪をいれずにいった。「十分な数の聴衆の前で十分な回数嘘をつけば、その嘘は真実になるんだよ」

                                  (本書下巻P11より)

 

 

 『片腕をなくした男 (上)(下)』(ブライアン・フリーマントル・著/新潮文庫)を読みました。本屋でこの本と次作『顔をなくした男』を見たときは焦りましたよ。私としたことが、何という不覚をとったのかと。と、いうのもこれが私の愛してやまない「チャーリー・マフィン/シリーズ」の第13弾だからです。でも、後になって想い出しました。この『片腕をなくした男』、『顔をなくした男』、そして未だ翻訳出版されていない次作が三部作であり、三つそろってはじめて完結するので、三作がそろってから読むつもりだったことを。それを忘れて読み始めてしまったのですねぇ、これが・・・歳はとりたくないものです。三部作の第二部まで読み終えたら、第三部が出版されるまでの間、禁断症状にのたうち回ることになるに決まっているのですが・・・

 

裏表紙の紹介文を引きます。


 

(上巻)

モスクワの英国大使館内で男の遺体が発見された。顔面は後頭部からの銃弾で消失、右手の指紋も消されていた。そのうえ、左腕までもがない。ロシアへと飛んだチャーリー・マフィンは現地当局と捜査を開始するが、ロシア側はギャング間の抗争だとして事件を早々に終結させようとする。そんななか、大使館内で盗聴器が見つかった。もしや、二重スパイなのか?大好評シリーズ、完全復活。

(下巻)

遺体の身元はつかめない。盗聴器を仕掛けた犯人も二重スパイも見つけられずにいる。焦るチャーリーをよそに、マスコミは事件を大々的に報道し、英露関係の危機が高まっていた。そんな折、必要以上に接触してくるCIA工作員アメリカは何を企んでいるのか。孤立無援のチャーリーは一世一代の賭けに出ようとするがその勝算は…。シリーズの行方を大きく暗示する緊迫の最新作。


 

久しぶりのチャーリー・マフィン・シリーズはやっぱりよかった。「ハッシュパピーが新品で、まだ足に馴染んでいなかった」とか、「両足は依然として間断なくうづき続けていて、何かを見落としているのではないかという懸念から解放してくれなかった」などという記述を読むと、もう、うれしくて、うれしくて・・・、どんどん読み進めます。今回もチャーリーは孤立無援。ロシア連邦保安局、アメリカCIA、マスコミなどから窮地に陥れられます。それどころか味方のはずのイギリス内にも裏切りがあり、絶体絶命のピンチかとはらはらさせられるが、持ち前の油断のなさと機知で一気に形勢を逆転させ、逆に彼らを奈落の底に突き落とす。この快感は、一度味わったら忘れられません。と、いうことで、次は、シリーズ最新作『顔をなくした男』。えっ? なんだって? チャーリーが引退? ナターリヤとサーシャとはどうなるの? 気になりながら次作に突入。

 

(2012/05/27 読了)