佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

10月の読書メーター

2012年10月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2354ページ
ナイス数:2961ナイス

 

 先月はついに米澤穂信氏の<小市民>シリーズに手を出してしまった。米澤氏は多くの若者の支持を集めている売れっ子作家だ。私は若くないが面白いと思っている。<古典部>シリーズも既刊本はすべて読んでいる。アルバート・サムスン・シリーズの第二弾「死の演出者」も読んだ。このシリーズはしみじみ良いので、一気に読まずにインターバルを置きながら少しずつ読んでいきたい。辻村深月氏の『凍りのくじら』も良かった。シリーズものではないが、登場人物が他の作品とリンクしているので、順番に読んでいくことになるだろう。

 ナイス☆は人気の米澤穂信氏と辻村深月氏とを多く読んだことでたくさん頂いた。今日現在ナイス数順位で31位にまでランクを上げてきている。登録者は20数万人を数えると聞くので、その中での31位は素直に嬉しい。

 


美の旅人 スペイン編 2 (小学館文庫)美の旅人 スペイン編 2 (小学館文庫)感想
本編はダリです。ゴヤから始まる伊集院氏の旅はいよいよダリ。申し訳ないが私にはダリの良さがわからない。ダリの画にはマスコミのうしろにいる大衆を意識した計算があるように感じてしまうのだ。ダリはマスコミを意識して演技し、マスコミはダリを売り、大衆はダリを消費し続ける。もっともらしい理屈で味付けられた画を訳知り顔で眺めることなど想像しただけで赤面ものだ。ダリの上向きにピンとはねたカイゼル髭とぎょろりと見開かれた目を痛々しく感じるのは私だけだろうか。ただし、1925年作の「窓辺に立つ少女」は別物だ。すばらしい。 
読了日:10月2日 著者:伊集院 静

 


美の旅人 スペイン編 3 (小学館文庫)美の旅人 スペイン編 3 (小学館文庫)感想
美を巡るスペインの旅の締めくくりはミロ。私はゴヤ、ダリを好きにはなれないが、ミロには心惹かれる。自分でもはっきりとしないのだが、ひょっとしたら生き方とその生き方から感じ取れる人格がその原因なのかもしれない。絵画に人格を求めるなど笑止。しかし描き手と描き手にまつわる伝説も含めてその画を見つめるならば、「好き」か「嫌い」かの判断にバイアスがかかってしまうのもやむを得ない。というより好き嫌いをどう感じようと自由であるはずだ。ゴヤの「砂に埋もれる犬」とミロの「月に吠える犬」を観た時、私の好みははっきりと分かれる。
読了日:10月5日 著者:伊集院 静

 


死の演出者 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 165-2))死の演出者 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 165-2))感想
寡黙で心優しき知性派探偵アルバート・サムスン・シリーズ第2弾。やっぱりイイです。タフガイを気取っていないところがイイ。エエカッコしぃでないところがイイ。おしゃべりでないところがイイ。礼儀正しいところがイイ。むちゃくちゃ頭が良いわけではないところがイイ。でも、そこそこ頭がイイところがイイ。じわじわとアルバート・サムスンが好きになってくるところがシブイ。このシリーズ、ゆっくり読んでいこう。それにしてもこんな名作シリーズが古本でしか手に入らないとは・・・。出版界にも問題は多い。
読了日:10月11日 著者:マイクル・Z・リューイン

 


春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)感想
古典部シリーズ>を「氷菓」→「愚エンド」→「クドリャフカ」→「遠まわり」→「二人の距離」と最新刊まで読み終えた渇きを「いちごタルト」「トロピカルパフェ」「栗きんとん」で癒そうと、とうとう<小市民シリーズ>に手をつけてしまった。気の向くままにあれこれ乱読を生活態度としている私として、シリーズものに手をつけてしまうと他の本を挟み込みにくくなる嫌いはあるのだが、なあにかまうものか。軽く読んで脳に刺激を与えるのだ。「おいしいココアの作り方」なんて、真相に至る前に真剣に推理してしまいましたよ。
読了日:10月18日 著者:米澤 穂信

 


凍りのくじら (講談社文庫)凍りのくじら (講談社文庫)感想
『ぼくのメジャースプーン』に続き2冊目の辻村氏。松永くんとふみちゃんが登場しましたね。ウワサに違わず人物がリンク。辻村氏は頭が良いのですね。人のちょっとした心の動きの深層にあるものを言い当ててしまう。常人ならば見たくない部分が見えてしまうというのでしょうか。そのあたりが容赦なく書かれていて、しばしばドキリとさせられながら読みました。痛ましい結末を予感させて重苦しい空気の中で物語は進みますが、最後に救いが用意されているあたり、辻村氏の心の温かさを感じます。私はSukoshi Fukazake(深酒)。
読了日:10月21日 著者:辻村 深月

 


夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)感想
思えば私が米澤穂信氏と出会った作品は本書第一章「シャルロットだけはぼくのもの」であった。『きみが見つける物語 十代のための新名作 休日編』(角川文庫)にこの一編が収められていたのだ。秀逸な作品で私のお気に入りである。それにしても小学生のような背丈、ボブカットに童顔の女子高生、その名も小佐内ゆきは怖いぞ。好物の甘いものは二番目で、一番目は「復讐」だと。私がまだ女という生き物にあこがれと幻想を抱いていた23歳の頃、「Tさん(私のこと)、女って怖いのよ」とそっと囁いたY子さんの言葉を思い出す。
読了日:10月22日 著者:米澤 穂信

 


秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)感想
小佐内さん、相変わらず甘いもの食べまくりですけれど、栗きんとんがまだ出てきませんね。人間関係が複雑になってきました。でもそれは恋愛関係のようで、恋愛関係でないのですね。そう、恋愛関係というには決定的に足りないものがある。それは“passion”情熱ではないかと。小鳩くんが仲丸さんと付き合うのはなりゆき。小佐内さんが瓜野くんと付き合うのは??? 上巻での最大の疑問はこの点だ。瓜野くんはどう贔屓目に見ても小佐内さんの相手ではない。おそらく小佐内さんの掌中で転がされている。復讐が好物という小佐内さん、不気味だ。
読了日:10月26日 著者:米澤 穂信

 


秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)感想
収まるところに収まりましたね。実は本作は「秋期限定マロングラッセ事件」なのではないかと疑っていたが、下巻を読んで「秋期限定栗きんとん事件」に間違いなかったことを認めた。小鳩くんと小佐内さんの再会と再出発。しっくりしました。ところで、私は小佐内ゆきが怖い。彼女は復讐を愛する小悪魔だ。しかし、物語の最後に彼女が言った一言(復讐しようと思った理由)は私の心を捉えて放さない。故に私はこう予言する。「『冬季限定****事件』が上梓されたら、きっと読んでしまうだろう」と。小佐内ゆきに会いたいがために・・・
読了日:10月28日 著者:米澤 穂信

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