佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

配達あかずきん

『配達あかずきん-成風堂書店事件メモ』(大崎梢・著/創元推理文庫)を読みました。

 

まずは出版社の紹介文を引きます。


「いいよんさんわん」―近所に住む老人から託されたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後失踪した母を捜しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真…。駅ビルの六階にある書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵が、さまざまな謎に取り組んでいく。本邦初の本格書店ミステリ、シリーズ第一弾。


 

 

 最近大好きになった大崎梢氏の「日常の謎」もの。しかも書店ものである。そのうえ収められた五編の短編のうち「標野にて 君が袖振る」と「六冊目のメッセージ」には極上の恋愛ものの風情すらあるではないか。これはもう完全にツボにはまってしまった。

 物語の舞台となる成風堂、素敵な書店です。素敵な書店といえば鳥取定有堂という店があります。私はその店でハインラインの『夏への扉』を買ったことがあるのですが、その時のディスプレイが「猫の棚」(猫にまつわる本をあれこれ置いてあった)であった。本作「六番目のメッセージ」に『夏への扉』が登場し、それも「猫」が物語のエッセンスになっていることに不思議な縁を感じ、なんだかうれしくなってしまった。

http://hyocom.jp/blog/blog.php?key=197178

 

 私は書店に行くと気になった本を買わずにいられないという困った性癖を持つ。それだけの本を読む時間があるかどうか、家の本棚には積読本の山が数百冊あることなど関係なく買ってしまうのだ。もちろんいつかは読もうと思っている。その時買っておかなければ、きっと忘れてしまう、読まずに死んでしまうのはもったいないと思うのだ。読めるかどうかわからないほど、本を沢山買いだめてしまうほうがよほどもったいないのだが・・・

 本書を読むと物語の上で書店を訪れることになる。そこで気になる本に出会ってしまう。そうするとその本を買わずにいられない。『宙の旅』(林完次・著/小学館)、『民子』(浅田次郎・著/角川書店)、『あさきゆめみし』(大和和紀・著/講談社コミックス)を買ってしまった。困ったことです。