佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『ようこそ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ(邂逅編)』(大崎梢:著/創元推理文庫)

2021/12/17

『ようこそ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ(邂逅編)』(大崎梢:著/創元推理文庫)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

書店員がその年一番売りたい本を選ぶ書店大賞。その授賞式の当日、成風堂書店に勤める杏子と多絵が会場に向かおうとした矢先、福岡の書店員・花乃が訪ねてくる。「書店の謎を解く名探偵」多絵に、書店大賞事務局に届いた不審なFAXの謎を解いてほしいという。同じ頃、出版社・明林書房の新人営業マンである智紀にも、同業の真柴を介して事務局長直々に同様の相談が持ち込まれる。華やかな一日に不穏な空気が立ちこめて……。授賞式まであと数時間。無事に幕は上がるのか?! 〈成風堂書店事件メモ〉×〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉、両シリーズのキャラクターが勢ぞろい。書店員の最も忙しい一日を描く、本格書店ミステリ。

 

 

 本格書店ミステリー<成風堂書店事件メモ>シリーズの第一弾『配達赤ずきん』、第二弾の『晩夏に捧ぐ』、第三弾の『サイン会はいかが?』に続くシリーズ第四弾が本作である。主人公は二人の書店員(しっかり者の木下杏子とアルバイト名探偵の西巻多絵)である。しかも本作には『平台がおまちかね』、『背表紙は歌う』と続く<出版社営業・井辻智紀の業務日誌>シリーズの主人公「ひつじ君」こと井辻智紀が登場するというコラボというかクロスオーバー的展開もある。さらに読書好きが毎年注目するイベント「本屋大賞」(本作では「書店大賞」となっている)の授賞式現場が舞台となっているというおまけがついている。こうなるとミステリー好きであり、大崎梢ファンであり、本書以前のシリーズ作はすべて読んでいる私としては、きっととんでもなく面白いのだろうと期待は甚だしくふくらんだのである。

 しかし私のぼんくら頭ではきちんと掌握しきれないほどの登場人物の多さゆえか、あるいは山場に至るまでの迂遠なストーリー展開ゆえか、前半から中盤まではまったく楽しめない。かろうじて書店現場の描写に本好きの心がくすぐられるだけであった。さすがに終盤はそれなりに読ませたが、私の評価は低い。もちろん読む前の期待がふくらみすぎたための落差を考えれば、それは不当な評価なのかもしれない。事実、私は本書を充分楽しんだのである。ゆえに私は次作『本バスめぐりん。』を読む。主人公は六十五歳の新人運転手テルさんと図書館司書ウメちゃんの年の差四十のでこぼこコンビだとか。期待は弥が上にも高まる。いや、読む前から過度に期待をふくらませてはいけない。冷静に、じっくりと味わわせていただこう。

 

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