『私の嫌いな10の言葉』(中島義道・著/新潮文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
口にするのも汚らわしい、日本人の決まり文句10選。
「相手の気持ちを考えろよ! 人間はひとりで生きてるんじゃない。こんな大事なことは、おまえのためを思って言ってるんだ。依怙地にならないで素直になれよ。相手に一度頭を下げれば済むじゃないか! 弁解するな。おまえが言い訳すると、みんなが厭な気分になるぞ」。こんなもっともらしい言葉をのたまう大人が、吐気がするほど嫌いだ! 精神のマイノリティに放つ反日本人論。
頭の良い人はたいへんです。人々が当たり前のように言う言葉の裏に潜むウソをすぐに見抜いてしまうのですから。私は中島氏のようにあらゆる欺瞞にいちいち目くじらを立てる生き方をする気はありません。とはいえ、氏の仰ることに頷けることが多いのも事実。たとえば「生きているだけですばらしい」とか「そのままでいい」などという嘘くさい言葉は私も死ぬほど嫌いです。(中島氏はこうしたきれいごとを「優しさ教」という宗教教育だと切って捨てます) 私も命よりも大切なものはあると思いますし、世の中は「そのまま」で生きていけるほど優しくはないと考えています。子どもにはそもそも人生は不公平なものだし世の中は理不尽に満ちているとはっきり教えてやる必要があるとも思います。