佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『こぽこぽ、珈琲』(阿川佐和子ほか・著/河出書房新社)

『こぽこぽ、珈琲』(阿川佐和子ほか・著/河出書房新社)を読みました。まずは出版社の紹介文を引きます。

珠玉の珈琲エッセイ31篇を収録したおいしい文藝シリーズ第11弾。コーヒーを淹れる音まで感じられるひとときをお愉しみください。

目次
コーヒー談義(野呂邦暢)
コーヒー革命(湊かなえ)
古ヒー(阿川佐和子)
コーヒーとフィルトル(小島政二郎)
一杯だけのコーヒーから(片岡義男)
コーヒー哲学序説(寺田寅彦)
コーヒーと私(清水幾太郎)
コーヒーと袴(永江朗)
一杯のコーヒーから(向田邦子)
コーヒー(佐野洋子)
ウィンナーコーヒー(星野博美)
ピッツ・バーグの美人――本場「アメリカン・コーヒー」の分量(草森紳一)
そしてまたエスプレッソのこと(よしもとばなな)
珈琲(塚本邦雄)
ラム入りコーヒーとおでん(村上春樹)
トルコ・コーヒー(團伊玖磨)
コーヒー(外山滋比古)
三時間の味(黒井千次)
カッフェー・オーレー・オーリ(滝沢敬一)
ウィンナ・コーヒーが飲みたくなったなあ(植草甚一)
可否茶館(内田百閒)
カフェー(吉田健一)
ランブル関口一郎、エイジングの果てのヴィンテージ(村松友視)
国立ロージナ茶房の日替りコーヒー(山口瞳)
極寒のコーヒー、灼熱のコーヒー(畑正憲)
ある喫茶店(常盤新平)
京の珈琲(柏井壽)
散歩のときちょっと珈琲を飲みたくなって(泉麻人)
喫茶店学――キサテノロジー(井上ひさし)
蝙蝠傘の使い方(種村季弘)
珈琲の白い花(森本哲郎)

 

 

  31人の達眼の士の目に映る珈琲のある日常。植草甚一、内田百閒、柏井壽、寺田寅彦常盤新平村上春樹吉田健一・・・。すごい顔ぶれです。珈琲にもエイジングがあるのだとか。やはり「おいしい」というのはこれと決まったものではなく複雑に積み重ねたものやちょっとしたゆらぎなのだな。家で飲む珈琲が一番おいしいと感じる幸せ、朝起き抜けのベッドで飲む珈琲の幸せ、寒い冬にラム入り珈琲を飲む幸せ、神田神保町でお気に入りの古本を読みながら飲む珈琲の幸せ。ほっこり温まった。1篇を除きすべてに満足。H.I氏だけはいただけない。