『幻想の犬たち』(ジャック・ダン&ガードナー・ドゾワ:編/扶桑社ミステリー)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
犬は、長い年月にわたってわれわれのそばに仕え、時に人間同士以上に人の心を理解して信頼と友情を築きあう、人類の真の友であった。そんな犬をテーマに書かれた膨大な幻想小説のなかから、現代を代表する名作16編を厳選し、この1冊に結集。人間との間に驚くべき絆を結んだ犬、荒廃した破滅後の地球を仲間とともに生き抜く犬、前人未到の宇宙へ飛び出した犬等々、想像力豊かに紡ぎだされる、幻想に満ちた犬たちの世界。大好評『魔法の猫』『不思議な猫たち』の編者が贈る、犬アンソロジーの決定版。
犬にまつわるミステリー、SF、ファンタジー、ホラー小説のアンソロジー。16篇の短篇が収められています。各タイトルと訳者を一覧にしておきます。
- 私刑宣告 / デーモン・ナイト 著 中村融 訳
- ルーグ / フィリップ・K.ディック 著 大森望 訳
- ニューヨーク、犬残酷物語 / ジェロルド・J.マンデス 著 新藤純子 訳
- 銀の犬 / ケイト・ウィルヘルム 著 安野玲 訳
- 泣き叫ぶ塔 / フリッツ・ライバー 著 浅倉久志 訳
- 悪魔の恋人 / M.サージェント・マッケイ 著 中原尚哉 訳
- 同類たち / ジョン・クリストファー 著 中原尚哉 訳
- ぼくと犬の物語 / マイクル・ビショップ 著 岩本巌 訳
- おいで、パッツィ! / フレッチャー・プラット, L.スプレイグ・ディ・キャンプ 著 安野玲 訳
- 逃亡者 / クリフォード・D.シマック 著 福島正実 訳
- わたしは愛するものをスペースシャトル・コロンビアに奪われた / ダミアン・ブロデリック 著 佐田千織 訳
- 猛犬の支配者 / アルジス・バドリス 著 中村融 訳
- 一芸の犬 / ブルース・ボストン 著 中村融 訳
- 最良の友 / ジョナサン・キャロル 著 佐藤高子 訳
- 守護犬 / パット・マーフィー 著 北原唯 訳
- 少年と犬 / ハーラン・エリスン 著 伊藤典夫 訳
『少年と犬』(ハーラン・エリスン:著/伊藤典夫:訳)は先日読んだ短編集『世界の中心で愛を叫んだけもの』で読んだもの。本短編集と同じくトリを飾っていたが、やはり名作で、本書の16作品中でもベストであった。
他に気に入ったのは『私刑宣告 』(デーモン・ナイト:著/中村融:訳)、『銀の犬』(ケイト・ウィルヘルム:著/安野玲:訳)、『悪魔の恋人』(M.サージェント・マッケイ:著/中原尚哉:訳)、『一芸の犬』(ブルース・ボストン:著/中村融:訳)といったところ。
個人的には犬の物語に心温まるものを期待していたので少々期待はずれ。そうはいっても犬と人との関係は作家の創作意欲を一際かき立てるようで、それぞれキラリと光る短篇ぞろいでした。