佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『英国王立園芸協会とたのしむ 植物のふしぎ』(ガイ・バーター:著/北綾子:訳/河出書房新社)

2023/02/13

『英国王立園芸協会とたのしむ 植物のふしぎ』(ガイ・バーター:著/北綾子:訳/河出書房新社)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

タネはなぜ、自分の進むべき道をまちがえないのだろう?
虫たちと植物の関係、タネと花、地中に暮らすミミズとの交流、めぐる季節と天気……数千人の園芸家の悩みに答えてきた英国のカリスマ庭師が、ユーモアに溢れ、のびのびとした筆致で130の問いと答えを通して植物たちの姿をそっと教えます。美しいカラー図版多数、植物好き必携のバイブル!

 

 

 

 読むきっかけとなったのは『お探し物は図書室まで』(青山美智子:著/ポプラ社)を読んだことである。悩みを抱えている市井の人がふとしたきっかけで訪れた小さな図書室で、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本をセレクトして薦めてくれるという短編集です。その中の第二章「諒 三十五歳 家具メーカー経理部」でのお薦め本が本書だったのです。私は読む本選びで参考にするのが、人が推奨する本です。特に作家さんが自分のエッセイなり小説なりの中で触れた本はまず間違いなくおもしろいのです。そんな訳で本書を図書館から借りました。

jhon-wells.hatenablog.com

 

 良い本でした。子どもの頃、それはもう遠い昔のことだが、いろんなことに疑問を持っていた。でもいつしかそれを「そんなものだ」と思ってしまっている。でも本書を読むと、子どもの頃のみずみずしい感性が少しよみがえる気がする。庭でミミズがどんな仕事をしているか、土が変わると花の色が変わってしまうのはなぜか、ナメクジの舌には歯が生えている? 庭は不思議と発見の宝庫だ。手入れの行きとどいたイングリッシュガーデンでなくても、ウチにあるような田舎のありふれた庭にも小一時間もうろうろして目をこらせば、いろいろな発見と頭をもたげる疑問が満ちあふれてくるものだ。

 130の問いと答えを子どもの気持ちで愉しんだ。おもしろいと感じるポイントは人それぞれだろう。私が特に興味をひかれたのは「木を切らずに樹齢を知るには」「どうしてイチジクの木には花が咲かないの?」「豊作の次の年は不作?」「土に塩を撒くとトマトがしょっぱくなる?」「どうして秋になると紅葉するの?」などである。その答えをここに記すことはできないが、ひとつだけおもしろかったエピソードを記しておく。ナメクジはビールが大好きらしい。といっても、アルコールが好きなわけではなく、発酵した酵母の香りと風味にひかれるようだのだ。しかしビールの銘柄に好き嫌いがあることがわかったらしい。とくにバドワイザーは他の銘柄に比べて嫌われる確率がかなり高いらしい。銘柄ごとに発酵につかう化学物質が違うから好き嫌いがあるらしいのだ。どうやらナメクジは私と同じ味覚を持っていることが判明した。喜んで良いのか・・・?