佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

のと鉄道

2018/10/08

のと鉄道に乗り穴水まで行きました。

まず金沢から七尾まではIRいしかわ鉄道とJR七尾線。IRいしかわ鉄道とはなんぞや? 後で調べてみようと思いながら、未調査。

七尾でのと鉄道に乗り換えるのだが、接続が悪く一時間以上便がない。街中をぶらぶら散歩した。

のと鉄道はアニメキャラクターが描いてある車両であった。このアニメキャラクターについても知識なし。後で調べてみようと思いながら、未調査。

やはり私はロードバイクを駈っての旅が好みだ。撮り鉄でも乗り鉄でもない。

とはいえ、沿線の景色が素晴らしく、いずれこのあたりをロードバイクで走りたいなと夢想しながらの旅。本を読み、ときどき車窓の景色に目をやりながらのゆっくり各駅停車の旅。これもなかなか良いものです。

猩猩

2018/10/07

 夜は猩猩を予約した。過去何度か飛び込みでチャレンジしたが席が空いていたためしがない人気店である。今日も遅い時間(20:10~)であればという条件付きでようやく席が取れた。ホテルから店まで歩いて25分。小川沿いに飲食店が建ち並ぶ風情があやしうこそものぐるほしけれ。

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 20:10ジャストに店に入る。ちょうど入れ替わりの時間帯らしく、カウンターに空席が5つばかりあったが、10分もすれば予約客で満席になった。やはりこの店は予約が必須である。まずはお通しで一杯。「遊穂 山おろし純米 ひやおろし」を注文。おっ? 意外に辛口だ。5年ほど前に酒蔵見学したときには甘口だった記憶があるがどうやら造りが変わったようだ。

 白エビの唐揚げには「勝駒 純米」を合わせた。しっかりとした酒で揚げ物に合う。

 のどぐろの焼きもの。これには最初に冷やで呑んだ「遊穂」をお燗してもらった。思った通り燗することで香りと味がふくらんで良いあんばいになった。

 その後はもう止まらない。「千枚田 純米」を燗で。肴は「いしるきゅうり」と「自家製豆腐」。自家製豆腐は塩がそえてあったが、塩を使わなくてもうまい。塩は残しておけば、それをなめながら酒が飲めるのだ。続いては「かぶとむし」。栃木の酒だったか・・・甘酸っぱい酒であった。〆はキリッとした味わいのご当地酒「加賀鳶 山廃純米吟醸」。満足満足。帰りは長町界隈をほろ酔いでぶらぶら。あぁ・・・いい気持ち。

鈴木大拙館

2018/10/07 15:00

 鈴木大拙館を訪問。

 次のエピソードが印象的だった。

大拙が読んでいた『尼僧物語』にさしてある栞を目にした岡村美穂子は「何か大事な点を見つけられたのでは」と思い、大拙に尋ねた。栞の箇所は、著者がカトリック修道院の修行中の体験――お皿を洗いながら、イエスキリストを念じる、ところが念じるあまり皿を落として割ってしまった――を語る場面であった。

大拙はいう、「皿を落として割っては何にもならんのだ」と。

 

「その一言は私にとって大変参考になったのが思い出されます。一心になることは、心が留守になることではなかったのです。「今、ここ」を離れて在るものではない。無心も執着をもって得られる境地ではない。努力すればするほど執着度が増してきて、肝心かなめの点である「自由」が失われていく、等々。・・・」

 

            岡村美穂子『思い出の小箱から』

 

 

 また本を買ってしまった。旅先で本を買えば荷物になることは判っているのに。書名を覚えておいて家に帰ってAmazonに注文すれば、居ながらにして手に入るものを・・・

 人間は不条理です。

 

おでん赤玉本店

2018/10/07

 今日は金沢に来た。夜に名居酒屋と噂に聞く「猩猩」を予約している。

 前泊が東京だったので北陸新幹線「かがやき507」に乗って昼ごろ金沢に着いた。北陸新幹線に乗るのは初めてである。いつもはサンダーバードなので、車窓の景色が新鮮だった。残念ながら富士山は雲をかぶっていた。立山連峰は本に夢中になっており見逃した。次の機会に譲るしかあるまい。

 昼ごろ金沢駅に到着。駅近くのホテルに荷物を預け、さっそく町に繰り出した。鞍月用水に沿って2㎞も歩けば繁華街、片町・香林坊界隈に出る。他の町なら2㎞の距離を歩くのは苦痛だが、金沢の町並みには古いものが残っており、30分の散歩も楽しい。

 散歩して腹も減った。どこかで昼飯、いや昼酒をとGoogleマップにつけている★印を次々クリックしてみる。私がつけている★印はこの町にもたくさんあるが、基本的に居酒屋なので夕方からしか開いていないところが多い。しかしそれでも見つけたのが「おでん赤玉本店」。昼は12:00~15:00、夜は16:00~23:30まで開いている。よし、ここだ。金沢と言えばおでんだ。(松江でもそんなことを書いたような気がするが・・・) 酒におでん、文句なしの相性だ。

 店に入ると混んでいる。おねえさんが二人、忙しく動いている。客の注文への応対で忙しいのだろう。愛想は良くない。しかし私はおねえさんの愛想目当てで入ったわけではない。とりあえずおいしいおでんと酒が供されれば文句はないのだ。カウンターに一つ空いている席に両脇のお客さんに「ごめんなさいよ」と言いながら陣取る。嵌張ずっぽりというやつである。はやりの店で一席のみ空いているところに滑り込む快感は、麻雀の嵌張待ちをツモった時の快感に似ている。

 眉間にしわが寄るほど忙しそうに動いているおねえさんの様子をじっと観察しながら、今ならという瞬間を見つけ注文する。こういう店での注文は要領よく簡潔にするのが要諦。メニューを見て迷いながらまどろっこしいのはダメである。それではおねえさんの眉間に深いしわが刻まれてしまうのだ。「酒は宗玄を一合、冷やでね。おでんは車麩、しのだ巻き、かにしんじょう、大根。以上」。わずか10秒の早業である。金沢でおでんといえば車麩、かにしんじょうだ。あっ、しまった。赤玉を注文し損ねた。まあいい。また冬に来るのだ。そのときに食べれば良い。

 うーん、うまかった。もう少し呑むかとおねえさんに「牛すじとお酒、加賀鳶をください」と注文。牛すじ煮込みは店の実力が出る。この店なら間違いあるまいと思ったが、予想を超える出来であった。うまい。しっかり煮込みらしいコクがあるのだが、けっしてしつこさを感じない。正解であった。

 お勘定は2,860円。満足度大。お腹も満たされ、ほろ酔い気分で町に繰り出す。さて、鈴木大拙先生に会いに行くとしよう。

忘憂の物

 Yが逝った。Yとは大学の同級生で、入学してから2年ばかり同じ下宿に暮らした。クラブ活動も少林寺拳法部に入部して一緒だった。

 東京で通夜式があった。家から遠く仕事もあるので平日であればなかなか参列がかなわなかっただろう。連休前に逝ったのはYが見送りに来いと言っているような気がしたので、地元の祭りを失礼して参列することにした。無宗教で営まれ、終始しめやかにショパンが流れるなか、会社の友人の弔辞、喪主である奥様のご挨拶の後、全員が花を手向けた。そういえばYはピアノを弾けた。格闘技が好きで少林寺拳法部に入ったが、ピアノも弾くヤツだった。

 考えてみれば少林寺拳法部の同期で逝ってしまったのはYが初めてだ。今年、8月に同期の者が神戸に集まったときにそんなことが話題になった。同期全員が元気で生きている。離婚をした者も一人もいない。皆、けっこう幸せだねと口々に話したものだ。Yは来ていなかった。我々には知らせてこなかったが、そのときすでにYは病を得ていたのだ。

 通夜式が終わった後、通夜振る舞いの席で奥様、お兄様、ご子息とYの思い出話をした。お兄様はYと私が同宿していた「さゆり荘」をご存じだった。奥様とご子息と話をして、良い家族だったのだとわかった。少し早かったが幸せな人生だったのだろう。奥様は私が毎年送っている年賀状を見るのを楽しみにしていたと言ってくださった。

 思い出話がつきず、長居してしまった。席を辞した後、もう一度通夜式の会場に行った。入り口のお花の横に少林寺拳法部同期の写真が置かれていた。あれから40年近くなる。集まった友人と一緒に近くの酒場で飲んだ。お酒には「忘憂」の名があると仰ったのは親鸞聖人だったか。

 友人と別れ、ホテルに向かう途中、日本橋を渡った。橋からふと水面に目をやると、水面がにじんで見えた。

 

東京・八丁堀 「ロダン」のロースカツカレー

 さみしい知らせがありました。大学の同級生の訃報です。今年の8月に膵臓に癌が見つかり、わずか2ヶ月で逝ってしまったそうです。知りませんでした。お見舞いにも行かず心残りです。彼とは入学時から下宿が一緒で、クラブも同じ少林寺拳法部に所属していました。通夜式だけでも参列しようと、地元の祭りにも参加せず東京にやってきました。

 さみしい思いをしていても腹は減ります。築地市場が今日で終結の日を迎えると聞き、寿司でも食ってやろうかと銀座を素通りして築地場外市場に行きました。築地は日本人、外国人、私のような田舎者を含めごった返していました。寿司屋はおろか、食べ物屋が皆、混雑して行列が並んでいる。私はたかが昼飯に行列する気はない。かねてから目をつけていた八丁堀の「ロダン」に向かった。築地から八丁堀まで歩いて15分はかかる。じっと15分並ぶのも同じようなものだが、並ぶのはいやなのだ。

 八丁堀「ロダン」に着いた。お店の前に立つとスパイスのよい香りが漂う。ここは食券方式で、私のチョイスは当然のことながら「ロースカツカレー」(1,000円)。とんかつは私の大好物。カレーも私の大好物。大好物と大好物の出会いはこれ以上ない幸せをもたらします。

 どうです、この芸術的な模様が描かれたカレー。スパイシーかつコクのある深い味。ロースカツが薄くしてあって、それがカレーにベストマッチ。「とんかつ定食」ならば厚切りがうれしいが、カツカレーにはこれぐらいの薄さが良いのです。肉はやわらかく上品な味。衣はサクサクです。おいしゅうございました。

 

2018年9月の読書メーター

9月はいろいろな意味で個性の際だった作品を読めました。

 

9月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1276
ナイス数:1317

(P[あ]8-4)君の嘘と、やさしい死神 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[あ]8-4)君の嘘と、やさしい死神 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
何故ヒロイン玲は文化祭で落語をやることにこだわったのか? その答えが判ったとき、私の心は震えた。「死」をテーマにした落語は数多い。落語は私たちの隣り合わせにある死という運命をユーモアで笑い飛ばした。「死神」においてろうそくの形で見える寿命。ろうそくの炎はちょっとした風で消えてしまうし、残った長さもいつかは尽きる。しかし、ろうそくの寿命は別のろうそくに火を継いで延ばせる。「死への怖れ」と「生への希望」。医者から死を宣告された人間にとって、落語の死生観は果たして救いとなるのか。私はそうであってほしいと願う。
読了日:09月08日 著者:青谷 真未


眼球綺譚 (角川文庫)眼球綺譚 (角川文庫)感想
読むきっかけになったのはスタンリィ・エリン氏の小説『特別料理』を読んだこと。本書に収められた短編「特別料理」がスタンリィ・エリン氏へのオマージュとして書かれたものと知って読みたくなったのである。ひと言でいえば「悪夢」です。私の心の中にある悪魔が見させた悪夢。読みたくないのに読みたい。やめよう、もうやめようと思いながら続きを読んでしまう。そうした類いの小説集。ただ単にホラーであるというだけでなく、読者に謎を提示しておいて意外性のある結末で終わるというミステリの手法を用いている。そのあたりは流石と唸らされる。
読了日:09月14日 著者:綾辻 行人


月と菓子パン (新潮文庫)月と菓子パン (新潮文庫)感想
石田千さんの本を読むのはこれが3冊目。なんでもない日、どこにでもある話が石田さんの手にかかると愛おしくなる。石田さんのこころのありようと、ものを見る目をとおした日常風景はあたたかく、味わい深い。毎日をあたりまえに生きること、ふとしたことに目を向けること、ちょっとした贅沢をしてみること、そうした日常のなかにある幸せを見つける作業が石田さんにとってエッセイを書くということなのだろう。人生はすばらしい。
読了日:09月21日 著者:石田 千


コンビニ人間 (文春文庫 む 16-1)コンビニ人間 (文春文庫 む 16-1)感想
子供の頃、自分を周りに合わせるのに苦労した経験を持つ私にとって、本書は忘れなければならない過去を呼び覚ましてしまうものだ。当時、家族を含む周りは私を矯正しなければならないという確固たる意志をもって動いていた。幸か不幸か私は今、社会に適合している。その度合いは周りからみて十分すぎるほどだ。たまに本当の自分を隠しきれずぶっ飛んだ考えを表明してしまうことがあるが、それを周りは許容できる程度の多様性と好感するようだ。本書は無垢であった過去の私を蘇らせ、今の私に「このウソつきめが!」と迫ってくる。少々居心地が悪い。
読了日:09月24日 著者:村田 沙耶香


好きになった人 (ちくま文庫)好きになった人 (ちくま文庫)感想
梯さんの好きになった人は栗林忠道島尾ミホ石垣りん森崎和江、管野スガ、東君平森瑶子吉本隆明児玉清、そして老いた父。本書はもともとエッセイ集『猫を抱いた父』が文庫化されたものである。「猫を抱いた父」というエッセイはたまたま老いた父とトルコ旅行に出かけることになり、これまでほとんどコミュニケーションをとってこなかった父の意外な姿を見ることで自分の中にある父のイメージがだんだん変わっていく様が書かれている。だんだん父親を一人の男として尊敬していく様子がうかがえる秀作。私は梯さんが好きになったかも。
読了日:09月29日 著者:梯 久美子


新潮45 2018年 09月号新潮45 2018年 09月号感想
特集は【「茶の間の正義」を疑え】。「茶の間の正義」とは山本夏彦氏の言葉である。多くのメディアが茶の間におもねって垂れ流す底の浅い正義を「何が悪い?」と開き直って問いかける。批判を怖れず硬派な姿勢をつらぬくあたり見上げた根性です。この雑誌が危ないのではない。マイノリティーの人権擁護に熱心で、さも社会に寛容さを求めているように振る舞いながら、自分たちの気に入らない主張に対し不寛容な勢力が巧みな印象操作で世論を操っていくことこそが危ないのではないか。「新潮45」の休刊に危険な兆候を感じるのは私だけだろうか。 
読了日:09月30日 著者: 

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