佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『「青春18きっぷ」ポスター紀行』(込山富秀:著/講談社)

『「青春18きっぷ」ポスター紀行』(込山富秀:著/講談社)を読みました。図書館からの借り本です。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

 「青春18きっぷ」はJRが年3回(春、夏、冬)発売しているお得な切符で,1982年(昭和57年)に初めて発売されました。その後大ヒットし、汽車旅ファンの必需品となって今日に至ります。
発売時に全国のJR駅で掲げられるポスターは、つねに注目を集め、マニア垂涎の的となっており、とりわけ1990年(平成2年)からは、旅先の旅情を静かに湛えた写真とデザイン、旅の本質に迫るコピー表現が相まって、多くのファンを着々と獲得しています。
今回、その1990年以降のポスター74点を集め、一冊にまとめました。25年間このポスターを手掛け続ける著者が、制作にまつわる背景やエピソードを初めて解説した、ファン待望の写真集です。鉄道ファンのみならず、これから旅に出たいと思っている人にはユニークなガイドブックとして、かつて青春18きっぷで旅した人には思い出のアルバムとして、老若男女問わず、幅広い読者に満足していただける1冊です。

 

「青春18きっぷ」ポスター紀行

「青春18きっぷ」ポスター紀行

  • 作者:込山 富秀
  • 発売日: 2015/05/27
  • メディア: 単行本
 

 

 

 25年間、74枚のポスターをぱらぱらと頁をめくりながら見ていくだけで楽しい。写真もキャッチコピーも質が高い。「タンポポみたいに旅に出た」春はそうありたい。「大人には、いい休暇をとる、という宿題があります」ようし今年の夏は少し長い旅に出よう。そんなふうに気分が盛り上がってきます。やはり北海道の景色は圧倒的である。今年の夏旅は北海道で決まりです。注目すべきは予讃線「下灘駅」。1998年、1999年、2000年と三年連続で冬のポスターをこの駅が飾っている。特に2000年のポスターは強烈な印象を残す一枚だが、この写真には本書を読まないと分からない特殊な技術が使われている。つまり私にはこの写真が撮れない。

『泣き終わったらごはんにしよう』(武内昌美:著/小学館おいしい小説文庫)

『泣き終わったらごはんにしよう』(武内昌美:著/小学館おいしい小説文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

最高の調味料は、“優しさ"と“思いやり"
 中原温人は社会人四年目の少女マンガ編集者。恋人のたんぽぽさんと、美味しい食事をするのが一番の楽しみ。そんな彼が作る料理は、人の心の綻びを癒してくれる。そこには「優しさと思いやり」が詰まっているから――。 心の空腹も満たす美味しい八皿、どうぞ召し上がれ。
●第一話 肉じゃがよりも優しく
ある日突然温人の家を訪れた姉・木の実。仕事のトラブルに落ち込み、号泣している。見かねた温人は、姉に肉じゃがを供する。時間をかけてじっくり煮込んだ、甘く蕩けるような味わいに、木の実は自分を省みるのだった。
●第二話 きのこパスタは戦わない
人気マンガ家・卯月りおんの原稿が上がらないという。編集部に不満を覚え、一方的に絶縁宣言したのだ。助けを求められた元担当の温人は、食材を携え卯月の仕事場に赴く。
●第三話 山形のだしエクスプレス
温人の友人・琉惺は、家柄も外見もパーフェクトなイケメン。そんな彼が、同僚女性に恋をした。だが温人が話を聞くと、琉惺の恋愛ベタが発覚し……。
 登場レシピは卵焼き、ホットチョコレート、卵リゾット、カレー、親子丼など。大切な人に美味しいごはんを作ってあげたくなる。心温まる全八編。

 

泣き終わったらごはんにしよう (小学館文庫)
 

  

「第一回日本おいしい小説大賞」隠し玉だそうで、惜しくも受賞を逃した応募作を改稿して出版されたもののようです。受賞を逃したと言っても6月5日に創刊された小学館文庫の新レーベルを飾る三冊のうちの一冊である。出版社として自信を持ってリリースなさったに違いないのだ。

 主人公の温人(ハルト)は少女マンガ編集男子。料理が得意な厨房男子でもある。その恋人、たんぽぽさんは研究職、いわゆるリケジョである。そんな二人はお互いに運命の人といって良いほど抜群の相性。価値観は共通、双方の家族のみならず職場の同僚にも公認されるほどの仲の良さである。気も馬も息もフィーリングも反りも相性も波長も話もすべて合っている。まさにベストパートナー、運命の恋人である。肌が合っているかどうかまでは分からないが、お互いの住まいも通い合っているのだ、肌が合っていないはずはない。(笑)

 温人が大切な人のために心を込めて作る料理。その料理の調味料は”優しさ”と”思いやり”。心の底から相手を思う心は必ず伝わるし人の心を動かす。真心とはそうしたものだ。

 この小説には悪人が登場しない。皆がお互いを思いやり、真っ当に生きている。人の気持ちが分かるヤツばかりだ。こんな世界は小説の中だけだ。人の世はそんなもんじゃない。きれい事をいうなという人は多いだろう。現にテレビをつければ一日中、俳優H、お笑い芸人Wの浮気報道がかまびすしい。しかし、この作品世界を信じられる人間でいたい。そんなに甘くはないと思いながらもどこかで信じている人でいたい。そう思って何か悪いことがあるだろうか。現実世界が薄汚いからといって、小説世界が汚れていなければならないなんて誰が決めたんだ。良いではないか。どんな状況にあっても人には希望が必要だし、ささやかな幸せが必要だ。そうでなければ生きている意味がない。小説はしばしば「そうあって欲しい夢」を見させてくれる。だから私は小説を好んで読むのだ。 

淡竹とシーチキンの炊き込み御飯

2020/06/13 12:30

昼メシに「淡竹とシーチキンの炊き込み御飯」をつくりました。

もう一品は「豚カルビと淡竹の炒め物」。

 

酒は『聚楽第 純米吟醸』。京都は佐々木酒造の酒。口に残るほろ苦さが料理に合う。

ちなみに5月31日、6月2日も淡竹を使った炊き込み御飯でした。

今年の淡竹はこれでおしまい。

また一年後。

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炊き込み御飯をつくるときはこの釜をつかいます。

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『鳴く虫ハンドブック コオロギ・キリギリスの仲間』(奥山風太郎・著/文一総合出版)

『鳴く虫ハンドブック コオロギ・キリギリスの仲間』(奥山風太郎・著/文一総合出版)を読みました。姫路市立図書館からの借り本です。6月2日から制限付きではありますが、ようやく図書館が開館しました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

コオロギやキリギリス、スズムシをはじめとした鳴く虫のハンディ図鑑。北海道から沖縄まで、全国各地で見られる身近な鳴く虫を約70種収録。成虫だけでなく幼虫の写真も多数掲載する。巻末に種名索引を付す。
 

 

 

  日本で見られる鳴く虫の図鑑である。ハンディータイプなので、本当は買い求めて携行するのが良いのだろうが、今回は特に巻末の「鳴く虫の幼虫たち」を見たくて借りた。

 キリギリス科クツワムシ科ツユムシ科コオロギ科マツムシ科ヒバリモドキ科カネタタキ科と体系的に原寸大の写真が掲載されているところが良い。特に幼虫から成虫まで成長段階を追って写真がある。5~6月の時期、庭の草花に若齢の虫を見ることがあるが、それが何の幼虫なのかを知るのに最適の図鑑でした。
 「ツユムシ」「アシグロツユムシ」の幼生はほぼ間違いないだろうと同定できましたが、相変わらず分からないものもある。「ニシキリギリス」の幼生、それも生まれたてかと思ったがもっと科目を幅広く図鑑をあたり探求すべしと決めた。鳴く虫とは限らない。他のバッタ類をあたってみればあるいは分かるかもしれない。虫の世界は奥深い。

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ニシキリギリス幼生?それとも・・・

 

『鴨川食堂もてなし』(柏井壽:著/小学館文庫)

『鴨川食堂もてなし』(柏井壽:著/小学館文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

 料理雑誌に掲載されている、「食捜します」の一行広告。食にまつわる心に秘めた想いを胸に、依頼人がたどり着くのは、京都にある看板のない食堂。店主の鴨川流と娘のこいしが、再現された思い出の料理で温かく迎えます。認知症の父が母と一緒に食べたというビフテキ、幼馴染みの母親が作ってくれた春巻、後悔が詰まったチキンライス、亡き夫が食べたがっていた五目焼きそば、料理人を目指す原点になったハムカツ、料理をしない父がめずらしく作ってくれたちらし寿し…。悩むことがあれば、ぜひ当店へお越しください。京都発、大人気美味しいミステリー第七弾!

 

鴨川食堂もてなし (小学館文庫)

鴨川食堂もてなし (小学館文庫)

 

 

 人が生きていれば間違ったことをしてしまうこともある。そのときはそれが間違いと知らずに。そうしたい、そうしてあげたいと思っても叶わなかったこともある。後になって分かった深い思いやり、後戻りできない後悔、現世で会うことが叶わないもどかしさ、そうしたつらさは心の温かさの裏がえしでもある。

 切なさ、哀しみもまた、人が前向きに生きようとするとき人生の味わいに変わる。

 今日はこの本を電車の中で読んだ。快速から新快速に乗り換える機会があったが、そのまま快速に乗ったままにした。少しでも長くこの本を読んでいたかったからである。

 いつまでも続いて欲しいシリーズです。

 

 作中、登場した店、酒、食べものでチェックすべきものを覚え書きしておく。

  • ビフテキ スケロク
    金閣寺近くのステーキ屋。昔から変わらぬ味。
  • 甲州ドライ
    シャトー酒折ワイナリーの辛口ワイン
  • 越後屋多齢堂
    千本今出川にある菓子店。カステラ。
  • 亀屋陸奥
    下京区西中筋町の菓子店。「松風」という和風カステラ。
  • 鏡山 純米酒
    埼玉県・小江戸鏡山酒造。
  • 小樽の五目焼きそば
    作中では『八番館』『三菜飯店』となっているが、『●●番菜館』と『●香飯店』ではないかと推定している。知らんけど。
  • 『むかしの味』(池波正太郎:著)
    作中『むかしからの味』(池本幸太郎)となっているが、これしかないでしょう。
  • 秀鳳 純米酒 つや姫
    山形県・有限会社秀鳳酒造場。作中「秀鳳」としか紹介されていないが、酒米からこれだろうと推定。

 

 

「豚かつ きんとん」のシャトーブリアン

2020/06/11 12:30

 

ほぼ二ヶ月ぶり(?)の外食。

今日は神戸で仕事。

ここ二ヶ月ほどは新型コロナウィルス感染リスクを考えて、夜の居酒屋はもちろんのこと、昼の食堂、レストランの類いも避けてきた。

しかし最近は行動制約もだんだんゆるやかになってきている。とはいえ、まだまだ注意は必要。パン屋でサンドイッチでも買って、屋外で食べようかとも考えたが、今日から梅雨入りで雨模様である。ええい、ままよ!、とばかり三ノ宮さんプラザの地下にある「きんとん」に入った。とんかつは私の大好物である。久しぶりの外食となれば他のものは考えられない。「きんとん」は最近発見した店で、私のお気に入りである。長崎芳寿豚を使っているというが、肉に臭みがなく、ジューシーに仕上げられている。切り口がキレイなピンク色で見た目にもおいしさを演出している。

12:00過ぎのランチ時間帯ではあったが、幸い混雑はしていない。かといって閑散ともしていない。頃合いである。何を食べるかは決めていた。ランチにしてはちょっと値が張るが「シャトーブリアン御前¥1,980」である。豚一頭から一人前しか取れない希少部位なのだ。仕方がないのだ。いや、むしろ安いだろう。

注文してから本を読みながら待つ時間もまた楽しみだ。今、読んでいるのは『鴨川食堂 もてなし』(柏井壽:著/小学館文庫)。『鴨川食堂』シリーズは言わずとしれたベストセラーである。小説に描かれる料理の数々に生唾ごっくんであります。

 

鴨川食堂もてなし (小学館文庫)

鴨川食堂もてなし (小学館文庫)

 

 

 

カウンター席に陣取ったので、揚げ音がよく聞こえる。揚がったなと思ってから少し時間があるのも納得。余熱でじっくり火が通っている。切り口からベストのタイミングであったことが分かる。味付けは岩塩、わさび醤油、ソースの三種。どれで食べてもおいしいが、私は岩塩を指でつまんで、とんかつの上からパラパラっと薄くかけて食べるのが一番うまいと思う。まちがいございません。おいしゅうございました。

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