佐々陽太朗の日記

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「数学ふしぎ・ふしぎ」(矢野健太郎著・新潮文庫)を読了

昭和58年10月25日発行、矢野氏が数学のおもしろさ、不思議を私のような頭の悪い者にも興味が持てるように
わかりやすく書いてくださった本だ。もう、絶版になっているが「TREE HOUSE」で見つけ買ったものだ。
以前、小川洋子氏の「博士の愛した数式」を読んで「数学っておもしろいんだ」と感じていたのだが、この本を読んでさらに興味が増した。
中でもおもしろく読んだのが「パラドックスのいろいろ」だ。
有名なゼノンのパラドックス「アキレスは前方にいる亀に追いつくことはできない」なども紹介されているが、
次のようなパラドックスはクイズとして楽しめる。

※以下、本文からの引用

 あるとき三人の男の人が、一緒に宿屋に泊まった。翌朝この三人は、一万五千円を請求されたので、
一人が五千円ずつ出して、合計一万五千円を女中に渡した。
女中はこの一万五千円を帳場へもっていったが、
主人は、それは何かの間違いで、三人で一万円でよいのだと言って、五千円を三人のお客様へ返すように女中に言いつけた。
ところがこの女中は、五千円を客の所へもって行く途中でつぎのように考えた。
「第一、この五千円は三で割り切れない。お客はまだ、三人で一万円でよいということを知らないのだから、
いくらかでもお金が返ってきたら、それでうんと喜ぶだろう。だから、この五千円のうち二千円は自分がフトコロに入れて、
残りの三千円を、一人に千円ずつ返そう」

女中はこれを実行したので、お客の一人一人は、最初五千円を出して、千円返してもらったので、結局四千円を払ったことになった。
したがって 合計4,000円×3=12,000円 を払ったことになる。
ところが女中のフトコロに二千円あるから、
   12,000円+2,000円=14,000円
ところが、三人の客は、最初に一万五千円を出したのである。そうするとあとの千円はどこへ行ってしまったのであろうか。


 ???????・・・・・・ ウーンと唸ってしまう。
誤魔化しがあることは直感でわかるのだが、いざその誤魔化しがどこにあるかを説明しようとすればしばらく考え込んでしまう。

それにしても、数学者の文章はお世辞にも上手いとはいえない。
読点の場所に違和感があるし、「もっていく」と書いたり「もって行く」と書いたりと、
読みながら「ン?」と思ってしまうのは私だけか?

数学ふしぎ・ふしぎ (新潮文庫)

数学ふしぎ・ふしぎ (新潮文庫)

  • 作者:矢野 健太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1983/10
  • メディア: 文庫