佐々陽太朗の日記

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「ハードボイルド・エッグ」(荻原浩著・双葉文庫)を読了

ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)

ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)

 おもしろい、笑える。少しほろりとさせてくれる。軽妙洒脱さはさすがだ。 著者の本は以前に「神様からの一言」を読んだことがある。大手広告代理店を辞め、食品会社に再就職したサラリーマンの奮闘を描いた話であった。自分の規範を大切にするが故に不器用な生き方を選んでしまうサラリーマンの奮闘ぶりを描いた物語であった。ユーモアあふれる文章の中に、人として大切なものへのこだわりを描いた小説。不器用でやせ我慢をする主人公を描いているあたりハードボイルド小説といっていいだろう。
 今日読み終えた「ハードボイルド・エッグ」は題名からしてハードボイルドをめいっぱい意識している。チャンドラーを読んだことのある人なら、この本を少し読んだだけで「フッ」と笑ってしまう。随所にチャンドラーが引用されているあたり、ハードボイルドファンにはたまらない。軽妙な文章を楽しみながら読み進めていくうち、いつしか主人公に入れ込み応援している自分がいた。小難しく気取っていないところが逆にカッコイイ。


内容(「BOOK」データベースより)
フィリップ・マーロウに憧れ、マーロウのようにいつも他人より損をする道を選ぶことに決めた「私」と、ダイナマイト・ボディ(?)の秘書が巻き込まれた殺人事件。タフさと優しさを秘めたハードボイルド小説の傑作。