佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『男の作法 / 池波正太郎(著) 』(新潮文庫)


人間とか人生とかの味わいというものは、理屈では決められない中間色にあるんだ。つまり白と黒の間のとりなしに。その最も肝心な部分をそっくり捨てちゃって、白か黒かだけで全てを決めてしまう時代だからね、いまは。     (『男の作法』P21より)

男の作法 (新潮文庫)

男の作法 (新潮文庫)

『男の作法』を読み終えました。池波正太郎氏の「語りおろし」随筆である。自分でも意外なのだが、私が池波氏の本を読むのはこれが初めてである。もちろん名前は前から知っていたし、本屋に行けば嫌でも氏の小説が目につく。正直言うと、テレビで見る「鬼平犯科帳」のイメージが強く、本で読むほどのことは無いと内心バカにしていたのである。しかし、本書を読み終えた今、私は不明を恥じています。この本は池波氏が長い人生経験をつうじて「男をみがく」ということについて思うところを語ったものです。読んでみて、何故もっと早く氏の書かれたものを読まなかったのかと後悔しています。もっと若いうちに氏の慧眼にふれていたら、私も少しはマシな人間になっていたのではないかと。