佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

青に候 あをにさうらふ (志水辰夫:著/新潮文庫)を読む


ゆきゆきて男。
涼やかに女。
訣別して、友・・・・

青に候

青に候

青に候 (新潮文庫)

青に候 (新潮文庫)

志水辰夫氏の『青に候』を読みました。このたびシミタツを読みたいと思ったのは先日読んだ風間一輝氏の小説『男たちは北へ』がシミタツの名作『深夜ふたたび』を髣髴とさせる小説であったからだ。シミタツを読むのはほぼ2年ぶりです。記録によると『行きずりの街』を2009/9/14に読んでいる。『深夜ふたたび』を読んだのはさらにその一年前。

http://d.hatena.ne.jp/Jhon_Wells/20070914/1189785629

裏表紙の紹介文を引きます。

神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。わずか二年前に仕官したばかりだった。主君の死に始まる山代家の騒動はいまだ治まる気配を見せない。殿の愛妾となった幼なじみ、行方をくらました元藩士、朋輩の美しき妹、忍び寄る影。佐平は、己の進むべき道を見つけることができるのか。若々しい熱気と円熟した情感をたたえた、志水辰夫の新たなる代表作。

シミタツらしいストレートなハードボイルド小説だ。しかもシミタツ初の時代小説ときた。良いです。小説そのものも良いが、何よりも題名(あをにさうらふ)がすばらしいではないか。「青に候」とは若いということ、同時に未熟ということでもある。しかし、若いだけに考えに、行動に打算がない。未熟故に悩みながらも、自分がそうあるべきと信じた道に突き進む強さがある。そこにある危うさに読者は惹かれる。