『疾れ、新蔵』(志水辰夫・著/徳間時代小説文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
十歳の姫は道中、誰をも魅了する。姫を伴って国元に赴く新蔵の旅は成就するのか?
追っ手を巻いて街道を抜けてゆけるか、新蔵の智恵と力が試される。手に汗握る逃走劇でもあり、小藩の内情から、当時の江戸表と国許派の確執のゆくえなどリアルな時代小説!「さすがはシミタツ、次々に登場する脇役たちのさまざまなドラマもたっぷり読ませてあきない。すてきなラストまで一気読みの傑作だ。北上次郎氏(日刊ゲンダイ)
内容(「BOOK」データベースより) 越後岩船藩の江戸中屋敷に新蔵は疾る。十歳の志保姫を国許に連れ戻すために。街道筋には見張りがいる。巡礼の親子に扮し、旅が始まった。逃走劇の根底には江戸表と国許の確執があった。間道を選んで進む道中に追っ手は翻弄される。ところが新たな追っ手が行手を阻み、山火事が迫る中、強敵との死闘が待つ。姫を連れて戻れるのか?冒険小説の旗手シミタツならではの痛快時代エンタメ長篇!
久しぶりのシミタツ。カバーイラストが卯月みゆき先生の手に成るものと知り買い求めました。『青に候』を読んだのがおよそ10年前。ずいぶんご無沙汰でした。最近は時代小説を書いていらっしゃるのですね。志水氏はいろいろなものが書ける作家ですね。『青に候』はハードボイルド・タッチ時代小説でしたが、今作は冒険エンタメ系。シミタツ節は影を潜めていますけれど、これはこれでおもしろい。逃走と追跡の緊迫感で一気読みさせます。