佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

ひとり旅 ひとり酒

8月12日

ひとり旅 ひとり酒

翌日、念願だった南田辺の「スタンドアサヒ」に行った。昭和一〇年創業の古い居酒屋だ。右にカウンター、左にテーブル、奥に部屋。カウンター真ん中に座ると、すぐ前で娘さんが鰻の肝をギチギチに詰めた大金串を縦にして、甕のタレをなんどもなんどもかけ回して焼いており、実にうまそうでたまらず注文。初めて入った店の第一声は「それください」だった。

                                                                                                                         (本書94Pより)

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『ひとり旅 ひとり酒』(太田和彦/著・京阪神エルマガジン社)を読みました。昨日、『行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅』(石田ゆうすけ/著・幻冬舎文庫)を読み終えて、世界一周は無理でもせめて日本一周はしたいものだと思ったのをきっかけに、太田さんの居酒屋巡礼ものを読みたくなって『ひとり旅 ひとり酒』を本棚から手に取った次第。昨年の秋から積読本になっていた本です。今回の旅先は西日本。関西に住む私にはすぐにも足を運べそうな距離感がうれしい。いつか自転車であちこちを巡り、気の向いた町で安宿に泊まって、ぶらりと街に出る。よさそうな居酒屋の暖簾をくぐる。その地ならではの肴をアテに地酒をツイーっとやる。そんなささやかな夢を持つ私にとってこたえられない本でした。西日本の名酒場を案内してくれて、その酒場の雰囲気を文章だけでなくカラー写真で紹介してくれる。本の中で紹介された店で行ったことがあるのは二軒のみ。大阪阿倍野の居酒屋「明治屋」と和歌山アロチのバー「テンダー」。二軒とも素晴らしい店でした。太田氏の目に狂いはありません。訪れたい街、暖簾をくぐりたい酒場がいっぱい出来ました。取り敢えず近場の神戸は福原の「丸萬」あたりから訪れてみるか……

 

目次
京都、ミニマリズムとグラマー弁天。
金沢でトビウオを食べそこなう。
境港の煮干にひかれて妖怪参り。
和歌山、アロチのジャックローズ。
広島の鯛の鯛とフランス文学。
富山の昆布〆と未亡人の夢。
博多、ラストダンスは私と。
松江、月とイングリッド・バーグマン
大阪ミナミ、オールドなにわ三大酒場。
岡山、ミモザけんかえれじい
長崎美人とステンドグラス。
高知のカツオとマダム・ロゼ。
小浜の鯖は、乾く間もなし。
益田、浦島太郎と日本一の居酒屋。佐世保、星屑の町のハンバーガー。
鹿児島の薩摩おとこに演歌ながれて。
長浜、湖北の光に女形の色気が。
倉敷、温かな夜、温かな人。
松山の勞研饅頭とちあきなおみ
神戸、ハートのカプチーノ

 

 

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