佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

杜若艶姿

『杜若艶姿 - 酔いどれ小籐次留書』(佐伯泰英/著・幻冬舎文庫)を読みました。

 

 

まずは裏表紙の紹介文を引きます。


大店の幼女を狙った連続誘拐事件には、どのような裏があるのか。当代切っての立女形岩井半四郎から芝居見物に誘われた小籐次は駿太郎の健やかな成長も相まって束の間の平穏を味わっていたが、ふとした拍子に下手人らしき賊の居所を突き止める。小籐次は御用に同道するが、騒動はそれだけに留まらなかった…。人気シリーズ、怒涛の第十二弾。



「杜若艶姿」には(とじゃくあですがた)とルビが振ってある。「杜若」をカキツバタと読むならば、カキツバタの艶やかな姿とは何を指しているのか。やはりおりょう様であろう。「いずれがアヤメかカキツバタ」という言葉もあるが、カキツバタおりょう様とすれば、アヤメは水野家の奥方お登季様だろうか。その二人をエスコートしてモクズガニ似の不器量小籐次が芝居見物に出かける。こういっちゃなんだが小籐次に華やかな表舞台は似合わない。しかしまあ、これも小籐次の十数年にわたる秘する想いに対する著者のプレゼントか……