佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『ビブリア古書堂の事件手帖2~栞子さんと謎めく日常~』(三上延・著/メディアワークス文庫)

  すべての本はなにかしらの過去を背負っている。持ち主に大事に読まれ、愛された本もあれば、仕舞いこまれたまま忘れられていた本もあるだろう。
  人の手に渡った古い本には中身だけでなく、本そのものにも物語があるという。この店に置かれている本も、いずれ誰かの手に渡って新しい物語を紡いでいくことだろう。
                                                             (本書P7より)

 

ビブリア古書堂の事件手帖2~栞子さんと謎めく日常~』(三上延・著/メディアワークス文庫)を読みました。

 

 

 

まずは裏表紙の紹介文を引きます。


鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。


 

 実は本屋の手違いでこちらが先に届いた。カバーがかかっていたのでタイトルをよく確認せずこちらから読み始めた。途中で気付いて第一巻を手に入れるまで読むのをやめようかと思ったがやめることができなかった。それほどまでにこの物語に、いや、栞子さんに魅了されていた。本書を読み終えるやいなや本屋に走り、第一巻~栞子さんと奇妙な客人たち~を手に入れ、読み始めた。二巻逆一気読み。その上で二巻を再読した。バカですねぇ。そして、第三巻はまだ発刊されていない。禁断症状緩和のため、せめて本の虫の女性主人公が登場するという『六の宮の姫君』(北村薫・著)を読むこととした。病気ですねぇ。

 

以下、雑感。

 

栞子さんの可愛いこと
「すーすー、すすすーすー」かすれた妙な息づかいは栞子さんの口笛だ。楽しいことがあると無意識のうちに吹いているらしい。しかし、不器用でちゃんと音が出ないのだ。そして本人は口笛を吹こうとしていることに気付いていないところが可愛い。この口笛は栞子さんが本を読んでいる時に多く聞こえる。

 

装画に関するちょっとしたトリビア
第1巻の装画の女性は栞子さんかと思っていたが、第2巻の記述(長い黒髪を伸ばしたその女性は、白いブラウスと長いスカートを身に着け、うつむき加減に本を読んでいる。膝の上には眼鏡が畳まれていた)により、彼女の母だと判明。ということは、イラストを描かれた越島はぐ氏は装画を各段階で第2巻まで読んでいらっしゃったことになる。いや、もう一つの可能性として、越島氏は第1巻の装画を栞子さんのつもりで描いたが、著者・三上延氏がそれを視て、その画を栞子さんの母にしてしまった可能性もある。うーん、いったいどちらなのか謎だ。こういうちょっとしたトリビアを潜ませているところも、サービス精神に溢れていて素晴らしい。