佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

12月の読書メーター

2013年12月の読書メーター


読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4229ページ
ナイス数:2143ナイス

じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (15) (アクション・コミックス)じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (15) (アクション・コミックス)感想
渉先生の嫁・朝子さんが本格的に登場。ヨシ江はんは黙っていながらテツの調子を狂わせリードしてしまうのだが、朝子さんは何の遠慮もなくテツに言いたいことを言い、テツの言うことなど適当に聞き流して自分のペースに巻き込んでしまう豪傑である。ヨシ江はんも朝子さんも腹の据わり方がまともでない恐ろしい女である。おんな組に対しておとこ組の心のなんと稚拙でヤワなことよ。男は女に頭が上がらない。しかしダメな男にも意地というものがある。後半登場のコケザルに弱いけれど強くありたいという男の意地を見た。温かいなぁ、はるきさんの世界。
読了日:12月30日 著者:はるき悦巳

 


作家の食卓 (コロナ・ブックス)作家の食卓 (コロナ・ブックス)感想
作家は己のスタイルにこだわりを持つ。生き方にうるさいのだ。生き方にうるさければ、食事にもこだわる。たとえば、旅先で昼飯を食うとして、目についたもの何でも良いと云うわけにはいかない。あれでもない、これでもないとメガネにかなうものを探しているうち、ついに食べず東京に帰って行きつけの店に入ろうということになるほどややこしい人種だ。そうした人種がどんなものを好んだか、どんな店を贔屓にしたか、どんなことを書き、どんなことを語ったか、そうしたことをひもとくと人となりが露わになる。手本とすべき美質が際だって見えてくる。
読了日:12月29日 著者:

 


待ってる 橘屋草子 (講談社文庫)待ってる 橘屋草子 (講談社文庫)感想
貧乏も空腹も茶飯のことであり、身体の一部のように一生背負っていくしかない境遇にあってなお、凜とした矜持を胸に秘め生きている市井の人を描いた短編連作。裕福な食通が通いつめる橘屋という料理茶屋。そこで働く使用人は店で供される料理など一生口にすることはない。しかし、橘屋のもてなしは客の富みへのおもねりや卑屈さではない。心を込めたもてなしは「人の値打ちは金で決まるものではない」という矜持があってこそだろう。現実が厳しくとも明日を信じて頑張ろうと心から思える読後感が心地よい。読んで良かった。心からそう思う。
読了日:12月29日 著者:あさのあつこ

 


ともえともえ感想
近江を舞台にした芭蕉と智月尼の恋。老いたりといえどなお色香を残す二人の躰のつながりのない恋愛に興味を覚えた。芭蕉と会うだけで、ただ話をするだけで心を浮き立たせる智月尼の純真を描いて妙。木曽義仲巴御前芭蕉と智月尼の二つの物語が時間を越えて交錯するのだが、そのあたりの絡まり合いがやや薄く物足りなさを感じないでもない。同じく義仲と巴の物語をベースにした時空を越えたミステリー小説として浅倉卓弥氏の『きみの名残を』があるが、物語のおもしろみはそちらに軍配があがる。しかし、なんともいえぬ味わいのある小説であった。
読了日:12月28日 著者:諸田玲子

 


輝く夜 (講談社文庫)輝く夜 (講談社文庫)感想
私は日本の冬に暴力的な猛威をふるうクリスマスという厚顔無恥な馬鹿騒ぎを憂い、昨今の恋愛礼讃主義に敢然と異を唱え、かような理不尽極まりないクリスマスファシズムに対し「日本人はもう一度節度を取り戻さねばならぬ」と主張するものである。が、しかし、百田氏が紡いだクリスマスイブの奇蹟の物語に目頭を熱くし、心がほっこりと温まった。多くを望まず、不平を言わず、真っ当に毎日を生き、ささやかな幸せを願う人にはこんな奇蹟があっていい。いや、あってほしい。小説はそんな読者の願いを叶えてくれる。素晴らしいことではないか。
読了日:12月22日 著者:百田尚樹

 


軍師 黒田如水 (河出文庫)軍師 黒田如水 (河出文庫)感想
「童門さん、あなたもですか」といささかがっかりしながらも、私もしっかりNHK大河ドラマの放映を翌月に控えたこの時季に読ませていただきました。(笑) しかし解説にあるように、これはもともと平成六年に富士見書房から発刊された『小説黒田如水』という小説であって、NHK大河ドラマ便乗本ではないらしい。失礼いたしました。黒田官兵衛という切れ者を童門さんらしい切り口で描いた良書です。「頭が良すぎて、それが災いした」才人がどのような生き方を選んだか、私も参考にさせていただこう。え? お前には関係ない? こりゃまた失礼。
読了日:12月22日 著者:童門冬二

 


偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫)偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫)感想
人は圧倒的な力を我が物にしたとき品性が露わになる。たとえば、それは金持ちに高貴な者と品性下劣な者、2種類の金持ちがいることと同じことだ。人を有無を言わせず従わせ、場合によっては人をひねり潰すことができるほどの力を持ったとき、その力を行使するか否か、行使するとしてどのように使うか、その人の品性が問われるということだろう。この小説は面白い。題名の奇抜さにおいても、面白さにおいても『鴨川ホルモー』とともに万城目ワールドの双璧をなす。次は姫路城を舞台にした物語を書いて欲しいなぁ。
読了日:12月18日 著者:万城目学

 


タイのことがマンガで3時間でわかる本 (アスカビジネス)タイのことがマンガで3時間でわかる本 (アスカビジネス)感想
タイに向かう飛行機の中、本当に3時間ほどで読み切りました。タイの政治事情、経済の状況、タイ人の気質、企業として進出する場合の留意事項などひととおり判りやすくまとめてあります。書いてあることが正確かどうかは判りませんが、気楽に読めて予備知識が得られたのは初めてタイを訪れた私にはありがたかったです。
読了日:12月11日 著者:朝日ビジネスソリューションタイランド

 

 

 


飲めば都 (新潮文庫)飲めば都 (新潮文庫)感想
意外な真実にビックリするようなミステリではない。ハラハラ、ドキドキのサスペンスでもない。涙を誘う悲話でもない。胸を熱くする感動の話でもない。でも、主人公・小酒井都はとても素敵な女性です。こんな子が側にいれば間違いなくプロポーズしますね。この小説を読むと、職場っていいなぁと思います。会社に行って、仲間と一緒に仕事をしようと言う気になります。そして夜には職場場の仲間と居酒屋に行きたくなります。心を前向きにさせるお仕事小説でした。酒飲みなら誰もがこの小説の良さが判るはず。
読了日:12月10日 著者:北村薫

 


頼子のために (講談社ノベルス)頼子のために (講談社ノベルス)感想
想像をはるかに超えた驚愕の真実。その一言に尽きる。忘れられない一冊になること間違いなし。
読了日:12月8日 著者:法月綸太郎

 

 

 

 

 


悪夢の六号室 (幻冬舎文庫)悪夢の六号室 (幻冬舎文庫)感想
そうきたかー。完全にやられたー。意外性の嵐に脱帽。まいりました。
読了日:12月5日 著者:木下半太

 

 

 

 

 

 


謎解きはディナーのあとで 2 (小学館文庫)謎解きはディナーのあとで 2 (小学館文庫)感想
間違いなく楽しめます。マンネリではあっても、お嬢様と毒舌執事の掛け合いがユーモラスで愉しい。物語の筋は判らなくても、読む前からそのテイストと、どの程度の満足感かは判っています。期待以上でも以下でもない、まさに期待どおりの質であるという意味で安心感があります。たとえて言うならCoCo壱番屋のカレーのような小説です。サプライズも感動もありませんが、期待に違わぬ味を提供してくれます。そして、一定の満足感が得られます。続編3も読むことになるでしょう。
読了日:12月5日 著者:東川篤哉

 


爆ぜるゲームメイカー (講談社文庫)爆ぜるゲームメイカー (講談社文庫)感想
木下半太氏の小説は数えて9冊目。好んで読ませていただいてます。特段の感動などありはしません。感動とは別の動機を持って木下氏の小説を読むのです。たとえて言えば、それは遊園地のジェットコースターです。ジェットコースターってのはとにかくハラハラドキドキする乗り物です。そのスリルを味わうためにのみあるものではないでしょうか。はっきり言って、そんなものなくても誰も困らない。乗る必要など何もない。でも、目の前にそれがあれば乗らずにいられない。そう、木下氏が紡ぐ物語はまるでジェットコースターのような物語なのです。
読了日:12月2日 著者:木下半太

 


幻想郵便局 (講談社文庫)幻想郵便局 (講談社文庫)感想
読んでいる間、ずっと感じていたザワザワとした違和感。ファンタジーなのかミステリーなのか・・・。いや、カテゴリーなどどうでもよい。作者の訴えたいものが伝わってこない。心に響いてこない。裏表紙の紹介文には「生きることの意味をユーモラスに教えてくれる癒やし小説」と書いてあるが、読んだ後も私には「生きることの意味」が判らない。ただ、他に類を見ない風変わりな小説であった。このテイストは一定の読者には受けるのだろうが、私には合わなかったと言わざるを得ない。おそらく、私は歳をとってしまったのだな。
読了日:12月1日 著者:堀川アサコ

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