佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

セカンドウィンド(Ⅲ)

 昨夜、久しぶりに茜からメールが届いた。

 年が明けてから何度かメールのやりとりはしていたが、会って話をする機会はなかった。練習がきつくなって時間的な余裕がなかったからだ。・・・・・・いや、本当は違う。時間は作れなくはない。茜と会うことにためらいがあった。どうしても多惠が気にかかる。多惠に隠れて茜に会うのが、なぜかうしろめたいのだ。

                                         (本書P146より抜粋)

 

 

『セカンドウィンド(Ⅲ)』(川西蘭・著/小学館)を読みました。

 

まずは出版社の紹介文を引きます。


洋が、岳が、青春の疾走が止まらない!待望の第3巻! 

早くも青春スポーツ小説の金字塔の呼び声高い名作シリーズ第3巻、堂々の登場。
南雲真一、今泉昇ら三年生部員が引退し、主人公・溝口洋は、キャプテンとして南雲学院高校自転車部を率いる立場になっていた。
自転車部を取り巻く環境も徐々に変わりつつある。予算が削減される中、スパルタンな新任コーチが就任。その指導への離反やインターハイ連覇を義務づけられたプレッシャーで、チーム内の不協和音が高まる。それは必然的にキャプテンである洋に大きな波濤となって押し寄せる。
親友でありエースでありライバルでもある岳との切磋琢磨で、洋はどう成長していくか。連覇は達成できるのか。そして多恵や茜への思いは・・・?
大人の世界への旅立ちを前に、もがく少年たち。かつてない大激走の闘いを経て、やがて洋や岳たちは卒業を迎え、それぞれの夢を実現するため、進路を選択するが……。
躍動するキャラクター群。激烈なレース描写。怒涛のスピード感。誰もがかつて経験した友情や恋心・・。自転車という乗り物への愛と、若者たちのすべてが正面から描きつくされる青春スポーツ小説の決定版。この戦いからもう誰も目が離せない!


 

 

 

 昨日今日と台風接近で大荒れの天気。そんなことだから今日は当然のこととしても、このところロードバイクに乗れていない。すっきりしないフラストレーションを如何せんと本書を手に取った。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと読んできて、主人公・溝口洋の成長ぶりをしみじみと感じる。まるで自分の息子の成長ぶりを見るようだ。ロードレースものとして、青春小説として極上の小説だ。身体は風雨に閉じ込められながらも、心は小説世界に飛び込んでヒートアップした。フォルツァ! 自分の身体を極限まで痛めつけて登り走り続ける感覚に、熱くなった心とは裏腹に鳥肌が立った。洋、そして岳よ、次はヨーロッパでの走りを見せてくれ。フォルツァ!!