『時が新しかったころ』(ロバート・F・ヤング:著、中村融:訳/創元SF文庫)を読了。
もしも愛に飢えた男が目の前にいたとしたら・・・、私は迷わずロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』を読むことをすすめるだろう。それでも足りなければこの本『時が新しかったころ』を渡すだろう。この二冊を読んで愛の奇跡を信じられない男はいないと私は断言する。ヤングの甘さは最強だ。何がすごいと謂って「純愛が時空を超える」のである。私は愛だの恋だの惚れた腫れたはすっかり忘却の彼方の中年のオジサンである。しかしそんな私の心もヤングの甘さの前には、もうメロメロである。時空を超えためぐり逢いはとびきりロマンチックだ。恩田陸の『ライオンハート』、梶尾慎治の『美亜へ贈る真珠』、ロバート・ネイサンの『ジェニーの肖像』、ロバート・F・ヤングの『タンポポ娘』とロマンチック時間SFの名作は数々あるが、本作『時が新しかったころ』も当然のこととしてそのラインアップに加えられるべきだろう。
出版者の紹介文を引いておく。
白亜紀後期の地層から人間の化石が発見された。調査のため、7千万年の時を超えて調査員が派遣されたが、そこで彼が出会ったのはふたりの子供だった。しかも彼らは火星の王女と王子で、誘拐されて地球に来たのだという。ふたりをトリケラトプスそっくりに擬装した大型武装タイム・マシンに収容したとたん、三機のプテラノドン型飛翔艇が来襲し…ロマンティック時間SF長編!