佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

神戸『Bar Main Malt』と『酒糀家』

2023/02/21

 用事があって午後は神戸に出かけた。用事を済ませるとちょうど居酒屋が店を開けはじめる時間であった。酒が飲みたくなり中山手通の『酒糀家』に向かった。二年半ほど前に仕事を退任したとき部下が送別会を開いてくれた店である。また最近読んだ『太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選 名酒放浪編』(光文社新書)に紹介された店でもある。

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 夕方六時前に店についたが、まだ店が開いていない。すぐ近くに『Bar Main Malt』があるので、まずはそちらでアペリティフみたく一杯やろう。ちなみに『Bar Main Malt』もまた太田和彦氏の本『関西で飲もう 京都、大阪、そして神戸』(小学館文庫)で紹介された店である。

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『Bar Main Malt』は東門ゴールドビルの二階にある。エレベーターを降りるとドアが目に入るが、木板が張ってあり変わった雰囲気。なにやら文字がきざんであり、どうやらウイスキーの木箱の板を張ってある様子。ドア横には”GUINESS"の立て看板があり、手書きで今日のお薦めらしきウイスキーが紹介してある。

 店に入ると長いカウンターに客一人。カウンター内にはマスターが一人。客は常連客らしく、ウイスキーをストレートで愉しみながらマスターと談笑していた。目を店全体に転じると壁という壁にボトルがぎっしり。カウンター中央に陣取り、目の前のボトルに目をこらすが、私が普段飲んでいるポピュラーな銘柄はほとんど目に入らず、知らないものが多い。それも同じ銘柄でもさまざまなバリエーションを取りそろえている様子。せっかくなので普段口にすることのないものを飲みたいと目の前のボトルに目をさまよわせても、何が良いかわからない。何もわからずに指さしたりしたら、とんでもない値段のものかもしれないではないか。初めての今日はおとなしく入り口の立て看の薦めに従い「GLENALLACHIE(10年)Cuvée Cask Finish」なるものを注文した。確か1,300円とあった。つまみに小さなサンドイッチとプチトマトを載せた皿とナッツやあられなどを載せた皿の二皿が出てきた。「「GLENALLACHIE(10年)」はやや強い酒であった。ボトルの裏を確認すると48°となっている。なるほど。一口目はやや酸味が残った印象。しかしこれは二口目からはあまり感じなかったので勘違いかもしれない。スコットランドのものではあるが、スモーキーなものではなく、まろやかな口当たりに複雑な味わいが混ざっている様子。氷が溶け始めたぐらいがちょうどおいしいのではなかろうか。店の雰囲気は良く、もう一杯飲みたい気がしたが今日はこのあと『酒糀家』に行く。当然日本酒を数種飲むつもりなので、これで辞去した。会計も妥当と感じた。これから贔屓にしたい店である。ただし、私はウイスキーをあまり知らないので、マスターに教えを請う気持ちで行こう。

『Bar Main Malt』を出たのは六時を二十分ばかり過ぎており、『酒糀家』も開いていた。訪いを入れると奥のカウンター席に案内された。よしよし落ち着く場所である。飲み物のメニューは無く、好みを伝えると店でチョイスして出してくれる。「濃い味の酒を燗で」と注文すると「鳩正宗 純米吟醸無濾過生酒」を出してくれた。青森県十和田市の蔵らしい。17年ものという。なるほどラベルに”06.4”と刻んである。しかし杯に入った酒の色はとても17年も経ったと思えないほど色が薄い。その点を尋ねると、-5℃で保管しているとのこと。なるほど。

(料理メニュー)

(お通し)

(造り) 北寄貝、カマス、金目鯛、鯛、鰤

 鯛は松かさ造り、カマスも金目も皮を炙ってある。肴は皮の部分がうまいのでこれはうれしい。カマスが特にうまかった。

 次に出してくれたのは「両国 純米吟醸原酒」。宮城県気仙沼市の蔵である。こちらもラベルに”H23.3”と刻んである。なんと震災直前の仕込みではないか。これはえらい酒に出会った。肴は「チーズの味噌漬け」をあわせた。甘味、うま味のしっかりした酒で、嫌味の無い酒であった。

 〆に「牡蠣フライ」を注文。こちらは坂越の牡蠣。シーズンはじめは小さかったが、ようやく大きく育ったようだ。店の手製オリジナルタルタルソースのうまいことよ。これにはキリッとした酒をと「上喜元 からくち」を冷やでやった。これぞ日本酒マリアージュ

 大満足で店をあとにした。再訪を期す。