佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

天満天神繁昌亭 落語会「とりどり男紫(danshi) 其の八 ~ウラハラな男噺~」を聴く

2023/08/22

 夕方から天満天神繁昌亭で落語会「とりどり男紫(danshi) 其の八 ~ウラハラな男噺~」がある。高速道路を車でぶっ飛ばして駆けつけた。17時過ぎに到着。開演まで1時間ちょいあるので、いつもの鰻屋うな重を食べながらちょいと酒をひっかけた。復路はつれ合いがハンドルを握ってくれるという。ありがたいことだ。

 酒は「白鷹」を冷酒でいただき、芋焼酎「かすみそう」をロックで追加した。

 18:30開演。演目は次のとおり。

  • 桂雪鹿「癪の合薬」
  • 露の紫「鼓ヶ滝」
  • 笑福亭生喬「笠碁」

  ~仲入~

「癪の合薬」、「笠碁」、「うなぎ屋」は他の噺家さんで何度か聞いたことのある噺。しかし露の紫さんの「鼓ヶ滝」「雪の戸田川」は初めて聴いた。

「鼓ヶ滝」は有名な歌僧、西行法師が摂津国・鼓ヶ滝にやってきて歌を詠んだ。「伝え聞く 鼓ヶ滝に 来て見れば 沢辺に咲きし たんぽぽの花」 なかなかの出来だと満足し滝を眺めていたがついつい長居してしまい日が暮れかけた。近くの木こりの家に泊めてもらうことになり、夕餉のときに良い歌ができましたかと尋ねられ、西行は先ほど詠んだ歌を披露した。西行はどうじゃとばかりに内心鼻高々だったが、なんと木こりに上の句をこうしてはいかがでしょうと添削されてしまう。意外にもその指摘が的確で、木こりの言うように直したほうが良くなる。するとその話を聴いていた木こりの妻がこう直してみてはいかがでしょうと別のところを直す。これまた的確な指摘でさらに良くなった。挙げ句の果てに今度は娘が下の句をこうしてみてはと直す。結局、西行は歌のほぼすべての箇所を添削されてしまったという噺。西行は平安末期の大歌人。私も晩年の作とされる「願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月のころ」が大好きである。その西行が木こり家族にギャフンと言わされるところが滑稽で楽しめた。

「鼓ヶ滝」を調べてみると、川西市に「鼓が滝」という地名がある。能勢電鉄鼓滝駅の近く下滝公園には西行の歌碑「音に聞く 鼓が滝を うちみれば 川辺に咲きし 白百合の花」があるそうです。これは添削の結果です。落語では”白百合の花”が”たんぽぽ”になっていたかと思いますが、”たんぽぽ”の方が可愛らしくて紫さんの語りにはお似合いかもしれません。

 もう一つ紫さんの演目「雪の戸田川」も初めて聴く噺。まるで講談を聴いているような心持ちで、物語に引き込まれた。魂の熱演でした。笑いをとるだけが落語じゃないと改めて気づかされました。