佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2021年9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3218
ナイス数:1080

 

 先月はミステリと料理関連のものが中心となった。どちらも私の好きなものだ。”探偵アルバート・サムスン”シリーズ、”伝説の教授トム・マクマートリー”シリーズ、”杉村三郎”シリーズに加え、チャンドラー亡き後、後世の作家の手に成る”探偵フィリップ・マーロウ”シリーズと大好物のシリーズものが読めて大いに幸せである。



世界の美しい窓世界の美しい窓感想
私は外から見る窓にあまり興味はない。内から窓を通してみる美しい景色、窓から差し込む光の美しさに心惹かれるのだ。それでも、外から眺める奈良井宿の街並みには、その美しさに息を吞んだ。二階が突き出た出桁造りの建物が整然と並び、全体として統一感がありながらしかし一戸ごとに少しずつ違っていることによる変化にリズムを感じる。やはり中山道は良い。いずれ六十九次をロードバイクで走破してみたいものである。 中銀カプセルタワー黒川紀章・設計)、54の窓(石井和紘・設計)、光の教会安藤忠雄・設計)は機会を見て訪れてみたい。
読了日:09月02日 著者:五十嵐 太郎


季節の終り (ハヤカワ・ミステリ文庫)季節の終り (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
拳銃を持たず、いつも金に困っている、ごくふつうの探偵アルバート・サムスン。困っている人についつい寄り添ってしまう優しさもいつもどおり。ひと言で云えば誠実であること、それがアルバート・サムスンの規範である。今作でもその規範にちょっとだけ目をつむれば羽振りが良くなると分かっていながら、それをしない。痩せ我慢ではある。しかし損得では動かず、どう行動すべきかで動く。けっしてマッチョではなく、さらりとそれをやってのける彼がたまらなくカッコイイ。ハードボイルドだなぁと嬉しくなる。ハードボイルドは痩せ我慢の小説だ。
読了日:09月03日 著者:マイクル・Z. リューイン


ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)ラスト・トライアル (小学館文庫 ヘ 2-3)感想
出版社の触れ込み「激アツ法廷エンタメ」に偽りはない。もうどうにもならないのかと読者をハラハラさせながら、不撓不屈の精神で事件の真相解明に繋がる糸口を見つけ出し、最後の最後に大逆転劇を見せてくれる。主人公たちの活躍もあるが、事件解決の裏にあるのは人間の善なるもの。極悪非道のヒールの対極に、市井の力を持たない人ながら、正義の心を内に秘めた者がいる。痛めつけられ、場合によっては命の危険すら感じながらも、なけなしの勇気を振り絞って自らの心に恥じることのない行動を起こす。そして最後に正義が勝つ。心地よい約束事だ。
読了日:09月08日 著者:ロバート・ベイリー


ただの眠りを (私立探偵フィリップ・マーロウ)ただの眠りを (私立探偵フィリップ・マーロウ)感想
はてさて、本書のマーロウはどうであったか。相変わらずカッコイイ・・・と言えなくもない。しかしヴィヴィッドなセクシーさは感じられない。あたりまえである。なにせ72歳なのだ。しかしある種危険なオーラは未だ消えていない。余計なことに首を突っ込んで危険な目に遭うのは相変わらずだ。色気も残っていなくもない。今作でもとびっきりの美人ヒロインにけっこう惑わされている。たまに酒が過ぎて酒場のウェイターにホテルの部屋まで送りとどけられることもある。個人的にはシンパシーを抱くが、マーロウも老いたものである。
読了日:09月11日 著者:ローレンス オズボーン


究極のカレー2020 関西版 (ぴあ MOOK 関西)究極のカレー2020 関西版 (ぴあ MOOK 関西)感想
既に”2021””2022”が刊行されており、いまさらの”2020”であるが、ここはどうしても行きたいと思う店をGoogleマップに印を付けながら読んだ。読んでいて感心するのは発想の素晴らしさ。幼い頃から刷り込まれてきたカレーというものに対する固定観念を心地よく崩してくれる。ビジュアルも楽しい。興味を持った店をチェックしていく中で、既に閉店した店もある。二年間の間におそらくメニューやコンセプトが変わっている店が多いだろう。新たなプレーヤーもどんどん参戦する熾烈な競争の業界はHOTだ。食べ歩いてみなければ。
読了日:09月12日 著者: 


私のカレーを食べてください私のカレーを食べてください感想
本を手に取ると帯に「椎名誠氏激賞!」とある。オォ!素晴らしい。しかも「印度カリー子氏特製カレーレシピ付き!」の文字も躍っている。素晴らしいの二乗ではないか。どれどれ・・・・・・と本を開いたらすぐに物語に没頭。一気に読んでしまった。なんとも美味しそうなカレーにページを捲る手が止まらない。まるでスプーンを手に取りカレーを一口、口にした瞬間手が止まらなくなり、ガツガツと一気に食べてしまうように。これは幸村氏の文章力によるものか、はたまたカレーが持つパワーの故か。主人公のカレー愛がグイグイと胸にせまってきた。
読了日:09月15日 著者:幸村 しゅう


ペテロの葬列 上 (文春文庫)ペテロの葬列 上 (文春文庫)感想
杉村三郎シリーズも3作目にしてますます面白くなってきた。バスジャック事件に巻きこまれた場面の面白さ。加えて、一応の解決を見た事件に残る謎の興味深さ。上下2巻にわたる長編作を全く中だるみ無く、一気に読ませるストーリー展開。ただただ小説世界に没頭し、一気に読ませていただきました。  https://jhon-wells.hatenablog.com/entry/2021/09/23/144330
読了日:09月21日 著者:宮部 みゆき


ペテロの葬列 下 (文春文庫)ペテロの葬列 下 (文春文庫)感想
事件に隠れた意外な真実もさることながら、三郎・菜穂子に関する大きな変化には驚きを禁じ得ない。この世に唯一無二のお似合いカップル、奇蹟の出合いと感じていただけに、おもわず「ええぇっ!」と叫んでしまったではないか。“釣り合わぬは不縁の基”と言うが、そうか、そうなるのか。こんなところにも宮部さんの探偵アルバート・サムスン・シリーズへのオマージュが現れるとは・・・・・・。杉村三郎、お気の毒。  https://jhon-wells.hatenablog.com/entry/2021/09/23/144330
読了日:09月23日 著者:宮部 みゆき


どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法感想
プログラムどおり4週間ストレッチに取り組めばベターッと開脚できるようになるというシンプルな内容。シンプルであると言うことは、中身が薄いということとほぼ同義である。そのためamazonのレビューでは酷評も目立つ。 評価はやってみて下すべきだろう。こうした実用書は目的達成のために必要な情報が過不足なく書かれていなければならない。充分な効果のあるメソッドならば、冗長を避けシンプルであることは長所である。 まずはやってみなければなるまい。
読了日:09月25日 著者:Eiko


大原千鶴の「新・豆腐百珍」 シンプル美味! からだがよろこぶ100レシピ大原千鶴の「新・豆腐百珍」 シンプル美味! からだがよろこぶ100レシピ感想
豆腐は私の大好物である。加えて大原千鶴さんのファンでもある。NHK_BSの「あてなよる」も視ている。図書館で本書を見かけ、迷わず借りた。  おぼろ豆腐、豆腐クリーム、豆腐よう、麦めし豆腐とろろ、豆腐の卵とじ(小竹葉豆腐)、ふわふわ豆腐、みぞれ煮丼、青豆豆腐、空也蒸し、飛龍頭、春巻きひろうす、釈迦豆腐、とろみ汁、長芋豆腐、すりながし豆乳がおいしそうに思えた。いやおいしいに違いない。自分で作ってみようとレシピを記録した。
読了日:09月25日 著者:大原 千鶴


殉教者 (講談社文庫)殉教者 (講談社文庫)感想
私が参加している月イチの読書会の課題図書として読んだ。宗教嫌いの私が本書を読んでもあまり胸に迫るものはない。むしろペトロ岐部カスイは聖地エルサレムへの旅の途中で、エスパニア人によるフィリピン諸島植民地化などを目の当たりにしながら己が信教に何らの疑いを挟むことが無かったことにいらだちを感じる。この盲信ぶりが宗教の怖ろしいところであり、キリスト教に限らずあらゆる宗教が内包する危険性だと改めて確信するのである。しかし狭量を避け、自分とは異質の考えをも見聞するという意味で良い勉強になった。
読了日:09月30日 著者:加賀 乙彦

読書メーター

『殉教者』(加賀乙彦:著・講談社文庫)

2021/09/30

『殉教者』(加賀乙彦:著・講談社文庫)を読んだ。私が参加している月イチの読書会「四金会」の今月の課題図書である。

 まずは出版社の紹介文を引く。

キリシタン弾圧の嵐が吹き荒れる江戸時代初期。信仰と志を胸に、ペトロ岐部カスイは密かに長崎の港を後にした。目指すは、聖地エルサレム。時に水夫として海を越え、時に駱駝曳きとして砂漠を進む。五年かけて辿り着いたローマで司祭となると、岐部は再び日本へと旅立ち―。構想三十年、魂の傑作長編!

信じるもののため、不可能を超えた日本人がいた――。苛烈な信仰に生きた男の生涯が荒廃した現代を照らす、著者渾身の書下ろし長篇。

 

 

 私はキリスト教を信じていない。では他に信じる宗教を持つかと言えば、それもない。キリスト教に限らず、仏教も、イスラム教も、ユダヤ教も、ヒンズー教も、天理教オウム真理教その他諸々の新興宗教を含めて宗教全般を信じていない。忌避していると言っても良いだろう。要は宗教嫌いなのだ。
 もちろんキリスト教信者に教義に対する宗教的思索(哲学)から高みに到達された立派な方がいらっしゃることは知っているし、他人の信仰自体を否定するものではない。
 なぜ私が宗教嫌いなのか? 自分なりに考えてみると、まずは私の少年時代のことに思い至る。私は生意気にも科学を信奉する少年であった。世の中の森羅万象、不思議な事々が科学によって解き明かされていくことに興味津々であったのだ。そんな年頃に触れた宗教は、仏教にせよ、まじないや祈祷によって体の悪いところを直したり、幸運に恵まれるといった現世利益を目的とした新興宗教のたぐいにせよ、すべてが胡散臭く見えた。科学が(それがまだまだ解き明かせない謎を多く残すにせよ)いろいろな謎について、証拠に基づいて論理的に解明してくれるのに対し、宗教が言っていることはとても現実に即したものとは思えず、ひと言で云えば嘘っぱちとしか見えなかったのである。
 もう一つの理由は、学校で歴史を学んでいく中で、ありとあらゆる宗教が、異教徒との対立を生み、それが高じて殺し合い、戦争に繋がっていること。時の権力、政治と手を結んで、持ちつ持たれつで信者拡大を企て、他所の土地を侵略していった歴史を知ったからである。最も許せないのは無知蒙昧の徒を啓蒙してやるのだと、自身の行為を正当化しているところだ。この傾向は特にキリスト教に強い。そしてそれは現代に至っても無反省に続いているように思える。その意味で秀吉のバテレン追放令、家康の禁教令は、結果としてキリスト教国の覇権主義と植民地支配を排除し、現在の日本を在らしめたと歴史的に俯瞰することができるのではないか。もちろんキリシタンを弾圧するうえで執られた非人道的行為は不幸な事柄であったとは思うが。

 長々と私の宗教嫌いを書いてきたが、そのような私が本書を読んでもあまり胸に迫るものはない。むしろペトロ岐部カスイは聖地エルサレムへの旅の途中で、エスパニア人によるフィリピン諸島植民地化など、当時の世界情勢を目の当たりにしながら己が信教に何らの疑いを挟むことなく、ひいてはローマで司祭にまでなったことにいらだちを感じる。この盲信ぶりが宗教の怖ろしいところであり、キリスト教に限らずあらゆる宗教が内包する危険性だと改めて確信するのである。

 おそらく私は本書を読書会の課題図書に取り上げられなければ読まなかったであろう。狭量を避け、自分とは異質の考えをも見聞するという意味で良い勉強になった。

『大原千鶴の「新・豆腐百珍」 シンプル美味! からだがよろこぶ100レシピ』(大原千鶴:著/世界文化社)

2021/09/25

『大原千鶴の「新・豆腐百珍」 シンプル美味! からだがよろこぶ100レシピ』(大原千鶴:著/世界文化社)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

もし私たちが沢山の野菜と穀物と豆を食べ、肉食を少し控えれば、未来の地球ととても素敵な「いいつながり」ができる。地元で取れたたっぷりの野菜と少しの肉か魚。そして豆腐があればいい。そんなことを考える折、江戸時代の大ヒット料理本豆腐百珍』に出合った。いろいろ作ってみて自分なりに豆腐としっかり向き合ってみた。豆腐は実に奥が深い。健康にも地球にもやさしい、簡単で、ちょっと男前な私なりの新・豆腐百選。

 

 

 

 豆腐は私の大好物である。加えて大原千鶴さんのファンでもある。NHK_BSの「あてなよる」も視ている。図書館で本書を見かけ、迷わず借りた。

 おぼろ豆腐、豆腐クリーム、豆腐よう、麦めし豆腐とろろ、豆腐の卵とじ(小竹葉豆腐)、ふわふわ豆腐、みぞれ煮丼、青豆豆腐、空也蒸し、飛龍頭、春巻きひろうす、釈迦豆腐、とろみ汁、長芋豆腐、すりながし豆乳がおいしそうに思えた。いやおいしいに違いない。自分で作ってみようとレシピを記録した。