佐々陽太朗の日記

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『夜のオデッセイア / 船戸与一(著)』 (徳間文庫)を読む

 『夜のオデッセイア / 船戸与一(著)』 (徳間文庫)を読みました。

 

 船戸氏の本を読むのは久しぶりです。2年ほど前に『砂のクロニクル』を読んだのですが、中東を舞台にした国際冒険小説であった。少数民族クルド族の問題が背景にあり、スケールの大きい熱く激しい小説だったという記憶がある。大変面白かったので他の小説も読みたいと思っていたのである。 

 本屋で『夜のオデッセイア』を手に取ったときに裏表紙の紹介文を読んで、そこにCIA、モサド、マフィアという文字を見つけて、これは読まなければと思った次第。

 

裏表紙の紹介文を引きます。


客の罵声を浴びながらリングに転がる。八百長ボクシングで金を稼ぐおれは、トレーナーの野倉と大型ワゴン“オデッセイア”でアメリカ大陸を漂泊中、ベトナム帰りの二人のプロレスラーと合流。イラン人への手紙をマイアミに届ける過程で、パーレビ国王の隠し財産を巡る闘いに巻き込まれていた。CIAやモサド、マフィアと闘う一匹狼達の群れ。


 読んでみた感想ですが、お世辞にも良い小説とはいえません。登場人物は皆、それぞれの過去を背負っており、それなりに興味深いキャラクターではあるのだが、何かが足りずそれぞれの人物に思い入れることが出来ない。それに、人が死にすぎます。人が死ねば劇的だというものではありません。前に読んだ『砂のクロニクル』が抜群に面白かっただけに残念と言わざるを得ない。