佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

手紙

久しぶりに映画『手紙』(DVD)を鑑賞しました。

先週に東野圭吾氏の原作を再読し、もう一度映画も観たくなったからです。

本でも泣きましたが、案の定、映画でもボロボロ泣きました。

本で2回、映画で2回泣いたことになります。

ホントによく泣きます。男として恥ずかしい限りです。

 

amazon の紹介文を引きます。


  弟の大学の学費のために盗みに入った邸宅で、誤って女性を殺してしまった剛志。千葉の刑務所に服役中の彼の唯一の支えが弟の直貴から来る手紙。しかし、兄が受刑者というだけで、差別され、仕事も転々とし、恋人にもふられ、夢さえ打ち砕かれてきた直貴。兄を思いながらも、その存在の大きさ、罪の大きさに彼は押しつぶされそうになる。そんな彼が所帯を持った。守らなければならない妻、子どものために、直貴はある決心をした。
   直木賞作家・東野圭吾が描いた小説をTVドラマでおなじみのヒットメイカー生野慈朗が映画化。加害者の家族を主人公にする大胆な試みだが、登場人物の心情にきちんとよりそい、ときには心にグイグイと入り込む演出は、罪を背負って生きる兄弟のドラマに見るものを釘付けにする。陰のある役がよく似合う山田孝之が、兄への思いと妻と子への愛の間で苦しむ直貴を熱演。意外にもさわやかなイメージの玉山鉄二が受刑者の兄を淡々と演じながら、最後で泣かせてくれる。ひとりの人間の犯した罪により、家族がどんなに苦しむか。そこから生まれる差別との闘いのドラマは確かにヘビーだが、弟の怒り、哀しみ、諦めなどの感情がうなりをあげて見る者の感情をゆさぶり、目が離せない 。まさに感動作だ。


小説を原作とした映画は必ず原作を修正して映像にします。

おそらく小説という手法と映画という手法とでは、ピッタリの表現が異なるからなのでしょう。

キャストによって台本を変えることもあるのかも知れません。

小説では主人公・直貴はミュージシャンとしてチャンスをつかみかけたが、兄の犯した犯罪のためにそのチャンスを逃してしまう。しかし、映画ではお笑い芸人でメジャーになりかけたが、その道を自ら絶ってしまうという設定になっている。原作を読んだ者としては違和感を感じるが、これもお笑い芸人にしたことによって、小説とは違う涙のエンディングが待っている。

また、沢尻エリカの下手な大阪弁には辟易するのですが、これもご愛嬌。彼女の演技はなかなかカワユイと思います。その後の豹変ぶりを知っているだけに興味深く観ることが出来ます。

そうしたことはさておき、この映画、率直に良い映画です。

ストレートにハートを鷲づかみします。

泣けます。泣きます。泣かせます。

エンディング近くで、由美子(沢尻エリカ)がひとりぼっちで砂遊びをしている娘の周りに子どもが一緒に遊ぼうと集まってきたのを見て目に涙を浮かべるシーンは本物です。刑務所に慰問に来た弟・直貴(山田孝之)の漫才を手を合わせて聴きながら、鼻水の垂れるのも構わず涙をボロボロ流す剛志(玉山鉄二)のストレートな涙も本物です。おそらくは原作と台本を何度も何度も読んで役に入りこんだと思います。登場人物の気持ちを本当に理解して収録に臨んだろうと思います。

原作と同じく、ストレートに心を打つ映画でした。