佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

「茶柱が立った」と聞いて、江戸の旦那は腰を抜かす

『「茶柱が立った」と聞いて、江戸の旦那は腰を抜かす』(古川愛哲/著・じっぴコンパクト新書)を読みました。

トモダチのアイテツさんのご著書です。

 

裏表紙の紹介文を引きます。


普段、何気なく使っている言葉。しかし、その語源は驚くほど古いものだったりする。「ウケる」はなんと平安時代から使われていて、そもそもは「有卦(うけ) に入(い)る」(運気上昇)、「男がすたる」は武士であることを「捨てた」が転じたもの、「夜這い」は男女が「呼び合う」からで、夜に這って忍び込むからではない。「商人(あきんど)」は、実りの秋に売買をすることから、「秋の人(あきんど)」に由来する。「にやける」は室町時代の言葉で、「にゃけ(若気)」という、「男色の相手となった少年」が語源で、そもそもは「男が女のような色っぽいしぐさをする」ことだった。
他にも、下戸・かたぎ・けなげ・内緒・たかを括る・老舗・ごまかす・尻馬に乗る、泥仕合、やんちゃ、スケベ……等々、154の言葉のルーツと、歴史的なおもしろエピソードが満載!


 

 よくまあこれだけのことをご存じだと感心しきり。この本を読むと、私たちが日常何気なく使っている言葉は、その本来の意味や語源を知らないで使っていることに気づく。何気なく使っている言葉がちょっとエッチな意味を持っていることもある。私としては大好きな女優の羽田美智子さんに「わー、茶柱が立ってる! うれしーい」などと言ってもらえるとたいへん嬉しい。そのわけはこの本を読んでいただければ解ります。

 もう一つ、興味深かったのが「江戸の老舗は婿養子で暖簾を守ってきた」という事実。このことは、私が以前に読んだことのある日経ビジネス人文庫「200年企業」でも読んだことがあります。1783年に創業の紙卸商「中庄」(東京)の家訓は「当家の男子出生致すとも別家または養子に遣わすべし。・・・男子相続は後代まで永く永く決して相成らず、当家相続は養子に限り、堅く定め置くもの也」の例にあるとおり、店(企業)を世襲により私のものとせず、能力ある経営者を外部から入れることによって生き残る。そのことによって所有者の一族のみならず、従業員にも取引先にも顧客にも良い結果となる。そのような企業を社会の公器とみる経営こそが老舗(長寿企業)を生む素地になっている。現に創業から200年以上続いて今も続いている企業の数は日本で3000社を越えるのに対し、4千年の歴史を誇るお隣の中国では60社程度である。古さが売り物の英国でも300社程度であることを考えると、これは奇跡に近い。なにも西欧から経営を学ばなくとも日本には深い知恵があるのだ。

 おっと、話がどんどん脱線してしまいましたが、とにかく知的好奇心をくすぐられる本です。通勤の合間などにちょっと開いて読むのに最適でしょう。

 

ウェルズの本棚booklog.jp