佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『STORY BOX Apr.2010 vol.09 血筋』

 『STORY BOX Apr.2010 vol.09 血筋』を読みました。

 三羽省吾氏の描く警察もの「血筋」が新連載。どのような物語が紡がれるのか楽しみ。そして、この巻には森見登美彦氏の特別寄稿読み切り短編「四畳半の眠れぬ姫君」が収録されている。なんと、単行本収録予定なし! この本でしか読めないのだ。思えばこれを読みたくて第一巻まで遡って『STORY BOX』を読み始めたのであった。やっとたどり着いた。
 
「血筋」(三羽省吾
 第一回。
 警察官としての覚悟は、何代かの血を経て醸成される……なるほど。

 

北上次郎の本の話」(第九回「血筋」について)
 おお、そういえば重松清氏はたくさん読んでいるが直木賞受賞作『ビタミンF』を読んでいないではないか。いやいや、それだけではない。山本一力氏の『あかね空』も読んでいない。これは不覚をとった。早急に読まねばなるまい。
 それにしても、受け継がなくてもいい血(酒呑みとか活字中毒とか)は何もしなくても伝わるが、受け継ぐべき血(美味しい酒や豆腐を造る才能)は努力しなければ伝わらない。親から受け継いだ血を忌避すべきか、感謝すべきか。

 

「四畳半の眠れぬ姫君」(森見登美彦
 読み切り短編。「単行本化予定なし」といわれれば森見ファンは読むしかあるまい。
 登美彦氏は竹林を深く愛するようだが、四畳半にも相当な思い入れがある様子。それにしても、登美彦氏の描く乙女はなんとも魅力的だ。
 最近の登美彦氏の作品に多い妖しさも味のアクセントになっている。傑作である。
 
「再開」(久保寺健彦
 前編。
 幼い頃、優しくしてもらったおじさんを捜して欲しいという依頼が佐伯探偵事務所に入る。依頼主は軽い男性恐怖症だという。いったい、何をされたんだ? 気になる。

 

「異境」(堂場瞬一
 第四回。
 息子が行方不明と聞き二階の両親が田舎から出てきた。しかし、真相究明のための手がかりはほとんど無し。いったいどうなるんだ?

 

「ザ・キャビネット」(室積光
 第七回。
 北朝鮮のミサイル攻撃脅迫に対し、朝地新聞は相変わらず「こちらが平身低頭していれば平和」論を展開。しかし、山本防衛大臣は腹が据わっとるけぇのー。そう、山本防衛大臣は低い声でコメントした。「……来んかい。 何なら、何をゴチャゴチャ眠たいこと言うとるんなら。来るなら、来んかい! いっつも脅し文句ばっかりで舐めとるんか? やってみい! その代わり、こっちは一人やられたら十人いくど、十倍タマ取ったる! わしに向かって脅しかけた人間で、立って息しとるのはお前だけじゃ、あとはみんな宮島沖に沈んどる、と伝えとけ!」
 ワハハー、判りやすいなぁ。ええぞー。

 

「偏差値70の野球部」(松尾清貴)
 第五回。
 これまで野球をするもの皆が正しいと信じて疑わなかったセオリーを全く意に関せず、極めて理知的な論を展開するカオリさん。一八世紀から経験的に営々と築き上げてられてきた筋肉バカセオリーが、論理的な偏差値70セオリーに敗れてしまうのか?

 

「返信」(野島伸司
 第九回。
 遂に第五信を受信してしまった。万事休すか……、どうする、藤原孜先生。

 

「金脈」(嶽本野ばら
 第九回。
 わけのわからないうちにジジイのペースにはまってる。私はコスミック・チャーリーを漕ぎ始めた。

 

「候補(リスト)」(五條瑛
 第五回。
 なんだかよく判らない謎のまま、第五回も読了。けっこう引っ張るなー。

 

「救出」(笹本稜平)
 第九回。
 容疑者・山之内の居所に有村老人もいることが判明。一方、行方不明になっている奈々美ちゃんの居所もつかんだ。いよいよクライマックス。

 

「狗賓童子の島」(飯嶋和一
 第九回。
 前前前々回より連載を細切れに読むのは無理と判断し飛ばす。