佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『坂東大蔵 花暦 芸道一代記』(千田草介/著・北星社)

 『坂東大蔵 花暦 芸道一代記』(千田草介/著・北星社)を読みました。

 

 

 姫路市出身の舞踊家、坂東大蔵さんが歩んでこられた人生を芸人一代記に仕立ててあります。著者は千田草介氏。千田氏とは月一回の読書会で会って本の感想や意見を交換し合う間柄です。そんな千田氏が本を出版されたとあっては当然買い求めます。読みます。当たり前です。本の見開きにサインもいただきました。(笑)

 


 千田氏は私よりふたつばかり若いがほぼ同年代。そんな彼が戦中戦後の姫路の空気を見事に描ききっていることに感心した。おそらく綿密なインタビューと取材があったものと思うが、直接には坂東氏に関係のない事も、当時を知るための周辺調査として根気よく取り組まれたのではないか。千田氏が広い分野にわたってさまざまな知識を持っていらっしゃることはうかがい知っているので、さほどの苦労でもなかったかも知れないとも思わぬでもないが……

 

 裏表紙の紹介文を引きます。


戦争が大きらいで、日本髪の女の人がたまらなく好き。映画と芝居に熱中した少年は、焼け野原から復興していく姫路で、踊りや三味線、義太夫を習い、演劇の舞台に立つ。桂米朝との青春酒遊ばなし。劇団「前進座」に入っての全国巡業。ミュージカル『姫山物語』の主役を演じた坂東大蔵の芸道人生をつめこんだ本。


 私にとっては坂東氏をはじめ桂米朝氏やその他の人物の多くが高校の先輩にあたるだけに、氏の学生時代の話には特に興味をひかれました。登場人物の一人である坂東氏の同級生・高嶋久昭氏とはここ三〇年弱のあいだ懇意にしていただき、何度も酒を酌み交わした間柄でもある。そんなわけで、坂東氏の人生がことのほか身近に感じられ、氏が人生の岐路に立たれたときの気持ちも身につまされるようであった。本書を読むことによって、私の知らない戦後間もない姫路の空気を感じることができたことは幸いであった。