佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

2月の読書メーター

2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4727ページ
ナイス数:2321ナイス

じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (3) (アクション・コミックス)じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (3) (アクション・コミックス)感想
今巻ではマサルの出番が増えてきた。チエちゃんへの堪った悪口をノートに10冊も書くマサル。悪口を言えないストレスでノイローゼになるマサルがイイ。私はやっぱりマサルのファンです。そして、ついに出た~~レイモンド飛田の名言「赤貧チルドレン」。ヒラメちゃんも登場。ヒラメちゃんの塩センベの食べ方、最高! ヨシ江はんの「お父さん頑張って~~~~」の一言でカチンコチンになるテツ。今でも惚れてるんやなぁ。テツ殿、そしてマサル殿、フクザツなご心情、お察し申し上げます。
読了日:2月2日 著者:はるき 悦巳


夜の光 (新潮文庫)夜の光 (新潮文庫)感想
ゲージ君、君はアケルダマ卿の生まれ変わりかね?(何のことか分からない人は「英国パラソル奇譚シリーズ」を読むべし) <ゲージ>「そりゃないよ、ハニー」、<ジョー>「私は蜂蜜じゃないし、あなたの恋人でもない」――なんて面倒くせぇやりとりなんだ? でも、慣れるとちょっといいねと思えるから不思議だね。天文部の4人のスパイ、ブッチ(黄川田祐一)、ギィ(安田朱美)、ゲージ(青山孝志)、ジョー(中島翠)、君たちはすてきな仲間だ。こんな仲間に出会えるなら、私はもう一度高校生に戻りたいよ。たとえ苦しい受験勉強があってもね。
読了日:2月3日 著者:坂木 司


さらば深川―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)さらば深川―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)感想
「因果堀」がめったやたらと良かった。女に惚れるということ、惚れられるということがこれほど切なく描かれた小説を私は知らない。私が増蔵の立場ならどうしただろうか? つれ合いを、子供を捨てる決心がつくだろうか? 増蔵はどれほど悩んだのだろう、どれほど迷ったのだろう。おそらく、どちらにも決められなかったに違いない。心が定まらないまま、心が傾いたのは「弱い方に寄り添ってやりたい」という気持ちだったのだなぁ。増蔵は自分を地獄に突き落とす覚悟で、自分が餓鬼畜生にも劣るものになり果てる覚悟を決めて動いたに違いない。
読了日:2月8日 著者:宇江佐 真理


秘剣こいわらい (講談社文庫)秘剣こいわらい (講談社文庫)感想
主人公が女子大生なのに京都を舞台にした大チャンバラ活劇であるという誠に奇妙な小説であった。しかしこれが滅多矢鱈におもしろい。読者としては小難しいことは考えずただただ楽しめばよい。読後感痛快、そんな小説だ。『鴨川ホルモー』(万城目学/著)と双璧をなす現代京都活劇。こんな小説が日の目を見ず埋もれてしまう危険性があったとは、信じられない思いである。救世主となったマガジンハウスさんありがとう。そして文庫化してくださった講談社さんありがとう。
読了日:2月10日 著者:松宮 宏


じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (4) (アクション・コミックス)じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (4) (アクション・コミックス)感想
チエちゃんがマサルの複雑な気持ちに薄々気づく。「オェー気持ちわる~」なんていっているけれど、大人になったらどんな反応になるのだろう。チエちゃんはまだまだ子供だ。でたぁ~花井拳骨「横縞教授フルチン事件」伝説。天若不愛酒,酒星不在天。地若不愛酒,地應無酒泉。天地既愛酒,愛酒不愧天。私も李白に近づくべく酒を飲み続けます。極めつけはミツルの結婚披露宴でのテツのスピーチ。飾りっ気なしの真心に目頭が熱くなった。
読了日:2月11日 著者:はるき 悦巳

 


じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (5) (アクション・コミックス)じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (5) (アクション・コミックス)感想
今巻は「大阪カブの会」にからむ話。ウルウル度は少ないものの、ギャグ満載。地獄組組長・レイモンド飛田が良い味を出している。
読了日:2月11日 著者:はるき 悦巳

 

 

 

 


余寒の雪 (文春文庫)余寒の雪 (文春文庫)感想
七編の短編集。宇江佐さんらしい機微にあふれている。宇江佐さんの小説にはやはりハッピーエンドが似合う。その意味で「梅匂う」と「余寒の雪」が良い。素敵なラブストーリーでした。逆に「出奔」と「蝦夷松前藩異聞」は好みではない。宇江佐さんとすれば実験的な作品なのかもしれない。
読了日:2月13日 著者:宇江佐 真理

 

 


シングルベル (朝日文庫)シングルベル (朝日文庫)感想
一番の問題は進藤陽一が思い寄する人が誰かということだろう。3回読み返したがやはり確信するまでに至らなかった。外資系キャリアウーマン円山すみれ、バンドをやっているメアリー・スチュアート・マターソンに似の(?)大船彩子、ハーフの元モデルで現マネージャーの双葉カトリーヌ、いったい誰なんだ? 私の勘であるがカトリーヌは外していいように思う。残るはすみれか彩子。素直に読めば彩子というのが順当なところだろう。しかし私とすればここはすみれであって欲しい。なにせ花言葉が”謙遜””誠実”極めつけが”小さな幸せ”なのだから。
読了日:2月16日 著者:山本幸久

 

じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (6) (アクション・コミックス)じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (6) (アクション・コミックス)感想
前巻に引き続きヒラメちゃんの存在感が増してきた。相撲だけでなく絵画にも才能があったとは・・・・。極めつけは歌唱力。ひょうたん池のフナが腹を見せて浮かんでくるほどとは、ロシアに落ちた隕石に匹敵するほどセンセーショナルではないか。(笑) 私が今巻でいちばん興味を覚えるのはアントニオJr.の春ノイローゼ。彼と小鉄の会話には何度読んでもニヤリとさせられる。真剣に語れば語るほど諧謔的になる会話の妙。私をして、はるき悦巳氏を天才と謂わしめる所以である。
読了日:2月17日 著者:はるき 悦巳


さんだらぼっち―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)さんだらぼっち―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)感想
己の欲望のために人を殺めてもと思う者が居る。一方、自分の大切な人のためなら己を犠牲にすることも厭わない者が居る。惚れた人と一緒にいたいから、己のこれまでの人生をうっちゃってしまう者も居る。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」 世の中、捨てたものじゃないと思いたい。
読了日:2月18日 著者:宇江佐 真理

 

 


じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (7) (アクション・コミックス)じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (7) (アクション・コミックス)感想
今巻でチエちゃんは”遺伝”について悩む。運動会での父兄による地区対抗リレーに絡むいきさつの中で、ヨシ江さんとテツのなれそめが垣間見えた。ヨシ江さんの勘違いがかわいい。とりあえずチエちゃんはヨシ江さんの良いところを一杯引き継いでいることが判った。よかった、よかった。チエちゃんも大人になったらきっと美人になる。マサルの気持ちはいよいよフクザツだ。
読了日:2月23日 著者:はるき 悦巳

 


じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (8) (アクション・コミックス)じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (8) (アクション・コミックス)感想
今巻はヒラメちゃんの才能とテツの才能(?)のお話。ヒラメちゃんは画の才能もさることながら、人への細やかな気遣いができる良い子だ。一方、テツの唯一の取り柄はケンカに強いところ。それは本人も十分自覚しているところだ。ボクシング・ジムを始めたレイモンド飛田はテツのケンカの才能を活かそうと企む。しかし、テツにはそれを活かして金持ちになろうなどという小賢しさがないのだ。大物である。人はそれを阿呆と呼ぶのかもしれないが。話を市川雷蔵の手紙のエピソードに変えよう。テツとヨシ江はんの恋がこれほどピュアで美しかったとは。
読了日:2月26日 著者:はるき 悦巳


じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (9) (アクション・コミックス)じゃりン子チエ―チエちゃん奮戦記 (9) (アクション・コミックス)感想
雷蔵からの手紙を焼いてしまうヨシ江はん。このシーンが切ない。『じゃりン子チエ』を思うとき、私はいつもこのシーンをある種の哀しみと温かみをもって思い起こすのだ。人を好きになるという気持ちの美しさ、温かさ、切なさをピュアに描ききった「雷蔵からの手紙」のエピソードを私は決して忘れることができない。
読了日:2月26日 著者:はるき 悦巳

 

 


茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯 (文春文庫)茜色の空 哲人政治家・大平正芳の生涯 (文春文庫)感想
どうやら私は大平正芳という人物を誤解していたようだ。彼がこれほどの知性と洞察力と政治哲学を持つ秀でた政治家だと知らなかったのだ。60年代、70年代の我が国政治の重要局面でこれほど影響力を持った人物であったとは驚きである。私は何も知らず、何も見えていなかった。恥ずかしい限りだ。――権力はそれが奉仕する目的に必要な限りその存在が許される―― 大平氏が書きとめたこの言葉は権力者たる者の自戒をこめたものだろうが、同時に政治家として非難をおそれず権力を行使し良い結果に結びつける責任があるという覚悟でもあるのだろう。
読了日:2月26日 著者:辻井 喬


ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)感想
今巻は江戸川乱歩にまつわるエピソード。ミステリとして趣向が凝らしてあり楽しめた。既刊3巻を読んで、栞子さんと栞子さんの母親の関係がどのように描かれていくのだろうと思っていたが、どうやら方向性が見えてきた。『美味しんぼ』の山岡士郎海原雄山の関係にも似た関係。つまり親を憎む一方、親の傑出した力を目の当たりにした時、親を無視することが出来ないありようということか。ビブロフィリアとしてライバル心を押さえることが出来ず、しかし超えることの出来ない圧倒的な存在として惹かれてしまう栞子さんの心境は複雑だ。
読了日:2月28日 著者:三上延