『漂泊の王の伝説』(ラウラ・ガジェゴ・ガルシア:著/松下直弘:訳/偕成社)を読みました。図書館本です。
まずは出版社の紹介文を引きます。
砂漠の王国、キンダの王子ワリードは貧しい絨毯織りの詩によって、夢と名誉をうばわれてしまう。憎しみにかられ、ワリードはその男に難題をもうしつける。人類の歴史をすべて織りこんだ絨毯をつくれ、と。それは、成しとげられない命令のはずであった…。スペインのバルコ・デ・バポール児童文学賞にかがやき世界八カ国で翻訳された、傑作歴史ファンタジー。小学校高学年から。
「よく聞け。われわれはみな、自分のすることに責任がある。よい行いにも悪い行いにも。そして、人生はかならず、おまえのした分だけ返してよこす。人生は、そのつぐないをさせるということを・・・・・・。」(第六章 王より)
この言葉が暗示することがすべてを物語っている。「嫉妬」が引き起こした罪と改悛の物語。心から悔い改め気高き心を獲得した男は運命に身を委ねる。そして運命はまた変えることができる。愛の力と意志の力で。
小学校高学年向けの児童文学ですが、その実は高邁なものです。児童書か、などといわず読んでみられることをおすすめします。