佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『ハバナの男たち (HAVANA)』(スティーブン・ハンター:著/扶桑社ミステリー)

2023/11/05

ハバナの男たち (HAVANA)』(スティーブン・ハンター:著/扶桑社ミステリー)の上下巻を読んだ。

 スティーブン・ハンターの”(ボブ・リー&アール)スワガー・サーガ”の七作目にあたる作品である。

 まずは出版社の紹介文を引く。

1953年早春。カリブ海に浮かぶキューババティスタ大統領の独裁下にあり、アメリカの大企業やマフィアが進出して親米政権下で法外な利益をむさぼっていた。不満渦巻く大衆のあいだでは、弁舌の才と強烈なカリスマを備え、共産主義による政権転覆を唱える若者が支持を集めつつあった。その男とは―フィデル・カストロ、26歳。アメリカCIA中枢は、喉元の脅威を取り除くべく、極秘にカストロ抹殺作戦を立案。そこで白羽の矢が立った人物とは、われらがスナイパー、アール・スワガーだった。

 

ソ連は将来の指導者としてのカストロに目をつけ、ひそかに支援を画策する。キューバの利権をめぐり米国ギャングも、カストロ抹殺を狙い、荒仕事専門の男を送り込む。下院議員エサリッジの外遊視察団のボディガードとしてキューバへ派遣されたアールはハバナ駐在のCIA幹部から、彼が送り込まれた真の目的を知らされるが…。灼熱のキューバに、男たちの不穏な野望が交錯する。日本冒険小説協会大賞四度受賞に輝く巨匠が放つ、鮮烈なノンストップアクション&謀略小説。

 

 かのキューバの英雄カストロや二十年以上キューバに住んだアメリカの文豪ヘミングウェイが登場するなど、単なる銃撃アクションものの楽しみを超えた興味深い作品。ただヘミングウェイはマッチョを気取った女たらしの酔っ払いというさんざんな扱われかただが。(笑) カストロの「歴史はわたしに無罪を宣告するだろう」との名言も効果的に使われている。ただ主人公アール・スワガーがいかにCIAからの要請とは言え、カストロ抹殺計画に参画する動機は希薄で、そのことが終盤まで私の心にわだかまっていた。下巻も半ばになってようやくアールにカストロを狙撃するチャンスが訪れるのだが、その時アールがどのような行動をとり、結果がどうなったかをここで語ることはできない。そんなことをしたら、これから本書を読もうとする人にたたき殺されかねない。

 率直に言って、終盤にさしかかるまで物語にのめり込めず、読むスピードも遅れに遅れた。しかしさすがはスティーブン・ハンター。最後はきっちり私の心をつかみ、物語を楽しませてくれた。やはり復讐のための銃撃戦は気分をスッキリさせてくれる。

 さて次は『デッド・ゼロ 一撃必殺    Dead Zero』を読むこととしよう。2010年の発表作で主人公はわれらがボブ・リー・スワガー。レイ・クルーズという新たなヒーローが登場するらしい。はてさてどんな展開になるのか。楽しみである。