佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

6月の読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3498ページ

 

まずまずのペースで読めました。

万城目学氏最高!

奥田英朗氏にはまりそうな予感。

夢枕獏氏の陰陽師シリーズも読みたい。

面白南極料理人 (新潮文庫)面白南極料理人 (新潮文庫)
もっとも寒さが厳しい季節でー80℃の南極ドーム基地。そりゃあウィルスだって生存できないでしょう。こんな所に一年もじっとしていろ、日本に帰ってはならん(というか日本に帰る手だてはない)といわれれば、美味いものを食い酒を飲むしか楽しみは無いだろう。極寒の地での作業と宴会の日々。極限状態の中で助け合って生きる8人のオッサンたち、その絆はハンパではない。それ故に彼らが夜な夜な催す宴会はただの飲み会にあらず、神々しいまでに崇高な儀式と化す。
読了日:06月01日 著者:西村 淳

 


鹿男あをによし (幻冬舎文庫)鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
鴨川ホルモー』もそうであったが、いかにもありそうでなさそう、なさそうでありそうな話です。でもやっぱりないよなあ。しかしあって欲しいなあという話なのです。どちらも読んでいない方にはさっぱり判りませんよね、スミマセン。読後感爽やか、なんとなく元気になっているような小説です。読者を意識して、読者を楽しませるためにきちんと作られた小説。万城目氏の頭の良さに脱帽です。
読了日:06月03日 著者:万城目 学

 


はぐれ牡丹 (ハルキ文庫 時代小説文庫)はぐれ牡丹 (ハルキ文庫 時代小説文庫)
大店の娘として育った一乃であるが、貧乏裏店暮らしであっても明るく暮らしている。夫を助けて野菜の棒手振りをして暮らしを立てる。一乃の心のあり方、生き方が何とも魅力的だ。そんな主人公の住む裏店に起こった人さらい事件。その裏にはロシアとの抜け荷貿易と偽金造りも絡んだ陰謀があった。あくまでもポジティブな主人公。そんな主人公の行動が周りを引っ張り、困難な状況を打開する原動力になる。裏店に住む周りの人々も魅力的に描かれている。山本一力氏らしい小説です。
読了日:06月04日 著者:山本 一力

 


きつねのはなし (新潮文庫)きつねのはなし (新潮文庫)
森見氏の小説の常として京都ものである。しかし、氏の他の小説と違ってちょっと怖ろしい怪談ものになっている。現代にあってもそこかしこに古さの残る街には、ちょっとしたきっかけで怪しい世界に足を踏み入れてしまいそうな危うさがある。何と言ったらよいのだろう、目には映らず普段は気づかないがもののけの住む異相世界があり、何かの弾みに人が迷い込んでしまう怖さのようなもの、森見氏はこの短編集でそんな世界に読者を誘ってくれる。
読了日:06月07日 著者:森見 登美彦

 


仇敵 (講談社文庫)仇敵 (講談社文庫)
強大な権力を持つ悪人幹部によって窮地に陥れられながらも、決しておもねることなく、屈することもなくあくまで自分を貫く主人公。メガバンクのエリート行員であった主人公が会社を追われ小銀行の庶務行員という下っ端の仕事に就くことになるが、それでも決して己を哀れんだりせず真摯に仕事に取り組む。権力も後ろ盾も何もないちっぽけな人間であっても己の矜持にかけて邪な仇敵をいつかは叩き潰してやると心に誓い、徐々に悪事を暴いていく誇り高き男を描いた復讐劇。サラリーマンなら誰だって復讐が果たされるのを見たいはず。一気読みです。
読了日:06月09日 著者:池井戸 潤

 


イン・ザ・プール (文春文庫)イン・ザ・プール (文春文庫)
何ですか、この強烈キャラ。読者は素直にこのキャラを好きと言えないと思います。いや、むしろ嫌いなキャラと言ってもいいでしょう。しかしこのキャラから目が離せない。見たくないのに目が離せず見続けているうちにだんだん慣れてきて、そのうち伊良部の登場を心待ちにしている自分に気づく。ひょっとして伊良部一郎のことが好きになってしまったのか? いやそんなことがあって良いはずがない。私の良心がこんな医者を、こんな人間を認めてはならないと言っている。にもかかわらず続編を早く読みたいと思っている自分に気づき愕然としています。
読了日:06月09日 著者:奥田 英朗

 


陰陽師生成り姫 (文春文庫)陰陽師生成り姫 (文春文庫)
生成り」とは辞書によると「能面の一。女の怨霊に用いる。角が生えかけた形で、般若(はんにや)になる以前のさまを表す」とある。源博雅が堀川橋のたもとで見初めた何処の人とも知れぬ姫。月日が経つにつれ姫の容色にも翳りが見え、そればかりか姫にふりかかった哀しき定めにより心に鬼を宿すまでになってしまう。読者は物語を読み終えてふり返ると、始めのほうで博雅が晴明に語った「そのお方が、老いてゆく御自分に対して、心に抱いている哀しみすらも、おれは愛しいのだよ」という一言にこの哀しい物語が暗示されていたのだと知ることになる。
読了日:06月14日 著者:夢枕 獏

 


散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 (新潮文庫)散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 (新潮文庫)
軍人の仕事は国民を守ること。栗林中将は硫黄島に赴任してまもなく島の住民をいち早く本土に避難させている。また彼は「閣下のもとで死にたい」と彼を慕って硫黄島へ向かおうとした軍属の元部下に対し合流を許していない。彼が軍人ではなく軍属であったからである。軍人であるからには命を賭して民を守る。配下の者には心中慟哭しながら死を命ずる。そう命ずるからには自らも殉ずる。陸軍大将自らが敵陣へ突撃し、戦死したのは日本軍戦史上初めてといわれている。まさに鬼神を哭しむるものあり。
読了日:06月26日 著者:梯 久美子

 


四十七人目の男〈上〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-14)四十七人目の男〈上〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-14)
狙撃手ボブ・リー・スワガー(Bob Lee Swagger)シリーズ第4弾です。書評を読むとこれがもう目を覆いたくなるほどの酷評。読んで良いものかどうかちょっぴり迷ってしまいましたが、シリーズの大ファンの私として読まないわけにはいかない、ハンター氏を信じて地獄まででもついて行くのだ、と本書を手に取りました。
読了日:06月27日 著者:スティーヴン・ハンター

 


四十七人目の男〈下〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-15)四十七人目の男〈下〉 (扶桑社ミステリー ハ 19-15)
日本の読者にはかなり違和感があるが、そこには目をつぶって読み流し、むしろハンター氏の持つ「侍あるいは日本人の精神世界に対する畏敬の念」を感じながら物語を読み進めると良いでしょう。実際にハンター氏は多くのサムライ映画を観ているようです。ハンター氏による謝辞にも、氏が最近のアメリカ映画のていたらくを嘆き、サムライ映画『たそがれ清兵衛』を賞賛するくだりがある。本書を読めば、氏が日本的なものにかなり傾倒していることがありありと判ります。本書は「スティーヴン・ハンター版・忠臣蔵」です。
読了日:06月27日 著者:スティーヴン・ハンター