佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

昼呑み

2020/10/13

 神戸にての早朝ミッションがなんとか昼過ぎに完了。出来は60点か。世の中、思うようにはいかない。正義が通るとは限らない。スジを通して突っ張りたい。しかしなまじの正義は結果を伴わない。現実に則した大人の結論が60点。消耗するなぁ。

 今日は昼呑みしようと「お好み焼き ふじ」に行った。ここのとん平焼きがうまいのだ。ビールを二本飲む。

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 ほろ酔いで姫路駅に着く。バス待ち時間が一時間近い。Bon Voyageで立ち飲み。まずはブルックリン・ラガー。続いてフォア・ローゼズをダブルで。ちょいとサービスで多めに入れてくれたか。

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『変見自在 習近平は日本語で脅す』(髙山正之:著/新潮社)

『変見自在 習近平は日本語で脅す』(髙山正之:著/新潮社)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

尖閣強奪のみならず、日本併合まで企む「皇帝」の演説は70%が日本語だった!「週刊新潮」連載中の超辛口名物コラム「変見自在」。堂々のシリーズ第13弾!

目次
第1章 新聞では何も学べなくなった(もはや朝日は東スポを超えた香港返還から20年の重みを考える ほか)
第2章 歴史を正しく知れば何も怖くない(ビルマ最前線の戦場で何が起きていたか軍艦島にあった「吉田屋」の女郎の正体 ほか)
第3章 新しい時代を前に知っておくべき事(平成30年12月23日の大事な意味中国が「支那」と呼ばれるのを嫌がる理由 ほか)
第4章 世界に蔓延するウソつきの面々(だから「東大卒」は使えない習近平は日本語で脅す ほか)
第5章 やっぱり朝日の記事は奥深い(成田には韓国と中国の飛行機がよく似合う朝日に日大を批判する資格はない ほか)

 

変見自在 習近平は日本語で脅す

変見自在 習近平は日本語で脅す

  • 作者:髙山 正之
  • 発売日: 2018/11/19
  • メディア: 単行本
 

 

 

週刊新潮」の名物コラム『変見自在』の単行本化13弾である。私は髙山正之氏のこのコラムが大好きで第1弾から通読している。

 こういうものを好きで読んでいるというと偏っているとの非難がどこかから聞こえてきそうだ。しかし私に言わせると偏っているのはむしろ日本の多くのメディアや教育者であり、髙山氏の主張は至極真っ当である。偏りを排すためには、まず立場が逆の両方の意見に耳を傾け、どちらが正しいかを裏付けに基づいて判断する必要があるだろう。少なくともA新聞やM新聞に書いてあるから、学校の先生がそう教えてくれたからと言うのではない。そんなものは単なる盲信誤信に過ぎない。盲信がいかに大きな災禍を招く危険性を孕むかということは、過去、人間が宗教が絡んだ戦争を繰り返してきたかを見れば火を見るより明らかだろう。そう宗教はその教義を絶対視するあまり盲信に陥りやすい。宗教に限らずナチズム、ファシズム共産主義など様々な主義主張も行き過ぎれば盲信と言えるだろう。

 とにもかくにも過去の歴史の評価については、それがたとえ教科書に書いてあることであっても本当にそうなのかという疑いの目を持ち、反対側の意見にも目を通し、捏造されたものではない確実なエビデンスがあるのかどうかをあたったうえでなされねばならない。そして過去の歴史においてこれが正史であるとされてきたものの多くは戦勝者の視点で書かれているのであって、多分に戦勝者の行いを正当化しているということに注意しなければならない。源氏と平家であれば源氏の、徳川と豊臣であれば徳川のバイアスがかかった見方がある。それは先の大戦においても同じであって、イギリス、アメリカ、オランダ、中華民国ソ連など連合国のバイアスのかかった歴史観がまかり通っている。

 過去において日本国がとった行動を日本人自らが非を認め反省することは大切だと思っている。それは日本人の持つ美質であろうとも思っている。しかしすべて日本が悪いと言わんばかりの歴史認識は、それもウソと捏造にまみれたものをそれが史実であるとするようなものまで容認できない。敗戦国の我慢にも限度がある。過去、ヨーロッパ諸国がアジア・アフリカの各地を植民地化して搾取し続けていたこと、アメリカが日本に対して行った大空襲と原爆投下は軍事施設だけでなく一般市民をも標的にした大量無差別殺戮であったことなど、連合国にも非はある。今となって日本が、そうしたことをいちいちあげつらい、他国を非難すべきだとは思わない。そのような行為は決して美しくないし、そんなみっともないことはC国、K国に任せておけば良い。そうは思っていてもA新聞の論調やK産党の言うことを聞いているとフラストレーションがたまる。『変見自在』シリーズはそんなフラストレーションを溜めに溜めた者の溜飲を下げてくれる。

 

 

『文豪の食卓』(宮本徳蔵:著/白水社)

『文豪の食卓』(宮本徳蔵:著/白水社)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

 

井伏鱒二と鰻、埴谷雄高とトンカツ、泉鏡花とウドン…碩学が書き下ろす、知的興趣あふれた「美味礼賛」。

【目次】

1 鰻丼の決闘

2 散らし鮨と涙

3 甘い豆と苦い豆腐

4 鮫と鯨の干物

5 『死霊』の鼻づまり

6 獺の涎を垂らす伊勢饂飩

7 『吉野葛』の復活と水

8 蛸、鮎の腐れ鮓、最後にオムレツ

 

 

文豪の食卓

文豪の食卓

  • 作者:宮本 徳蔵
  • 発売日: 2010/10/20
  • メディア: 単行本
 

 

 

 7年ばかり前に『作家の食卓』という本を読んだ。

  

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 作家と言えば食事と酒だ。もちろん例外がないわけではないが、大方の作家のエピソードには食へのこだわりがある。そうした作家に倣って食してみるとなるほどうまい。故に『文豪の食卓』などという本に出会うと必ず読んでしまう。そして作家が足繁く通ったという店のことが書いてあると、ググってみる。今も実在するとなるとGoogleマップに☆印を付ける。いつの日か近くに行くことがあれば店の暖簾をくぐろう、同じ物を食おう、酒も飲もうということになる。

 本書にもそうした文豪ゆかりの店が紹介されている。井伏鱒二の好んだ鰻なら荻窪の『東屋』『安斎』『川勢』、西荻窪の『田川』、新中野の『小満津』、永井龍男が好んだ酢と塩のみで味付けしたお稲荷さんは北鎌倉『光泉』、植谷雄高のトンカツは上野広小路の『本家ぽんた』、泉鏡花伊勢うどん『喜八屋』とどんどん地図上の☆が増えていく。他には京都三十三間堂の向かい『わらじ屋』の鰻ぞうすい、先斗町のおばんざい『ますだ』をチェック。いや、『ますだ』は既に2度訪れている。残念だったのは小林秀雄が足繁く通ったという鎌倉小町通り鮨屋『大繁』。Googleマップの検索では「閉業」と出ている。大岡昇平と並んで飲んだカウンターに腰掛けて、私も酒を飲みたかった。この店で岐阜から取り寄せているという酒の名は書いていなかった。おそらく「三千盛」であったのではないか。永井龍男が愛飲した酒と何かで読んだ。

 

『始まりの木』(夏川草介:著/小学館)

『始まりの木』(夏川草介:著/小学館)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

 

生きること、学ぶことの意味を問う、新世紀の“遠野物語”。“これからは、民俗学の出番です”。神様を探す二人の旅が始まる。

学問と旅をめぐる、奇蹟のファンタジー小説

 

始まりの木

始まりの木

 

 

  本書を小学館の編集者の方からの贈っていただいた。私が夏川草介氏の神様のカルテ・シリーズを読み、氏がたびたび訪れたであろう松本の居酒屋を飲み歩いていることを覚えて下さっていたのですね。ありがとうございます。

 第一話「寄り道」を読み始めて「おや?」と思った。以前に読んだことがあるのである。記憶の糸を手繰って思い出した。小学館の月刊誌『STORY BOX』で読んだことがあるのだ。2011年春のことだったので、記憶がなくなりかけていた。

 

jhon-wells.hatenablog.com

 

 

jhon-wells.hatenablog.com

 

 

 夏川氏の神様のカルテ・シリーズが好きで、まだまだ続きを読みたくもあるが、こうして新しいシリーズが刊行されることは嬉しいかぎり。いや、未だシリーズ化されるかどうかは判らないのでしょうか。シリーズは違えど、「命」「心」「人としての生き方」「矜持」といったことを連想させるテイストはやはり夏川氏のものだ。科学や人知を超えた不思議な話も盛り込まれた新境地。今後この物語がどう展開していくか楽しみです。シリーズ化されることを願います。

 余談になるが、最近卑しく見苦しいニュースが多いように感じる。生きていくうえでの信念や目的を持たず、只々自分の欲を充たしたいがために行動しているような輩が多いのではないか。現下のコロナ禍でいえば、持続化給付金の不正受給であったり、「Go To イート」の不適切な使い方といったような事です。金が欲しい、得をしたいということだけの、卑しく破廉恥な行為です。もちろんこうした行為は今に始まったものではありません。しかし昔に比べてこうした美しくない行為に対する忌避が薄れてきているように感じるのです。物、金、快楽を求め、そのためなら恥も外聞もなく、人としての矜持をさっさと捨ててしまう。我々はこの国に昔から根付いてきた美しいもの、気高いものを大切にする心をなくしてはならない。「これからは、民俗学の出番です」 これは本書の主人公の学生の言葉だが、まさにそのとおりでありましょう。

 

 

『ヴァラエティ variety』(奥田英朗:著/講談社文庫)

『ヴァラエティ variety』(奥田英朗:著/講談社文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

夫婦での帰省中、なぜか車にヒッチハイカーを乗せる妻。乗った男が失礼で腹を立てる夫だが、妻は今度は見知らぬ老婆を乗せて…(「ドライブ・イン・サマー」)。娘が外泊したいと言い出した。きっと彼氏とだ。母はどうするべきなのか(「セブンティーン」)ほか、微妙な空気を絶妙に描き出す、名手の貴重な作品集!

迷惑、顰蹙、無理難題。人生、困ってからが面白い! 奥田英朗の蔵出し短編集! 貴重な対談2本も収録。

ヴァラエティ (講談社文庫)

ヴァラエティ (講談社文庫)

  • 作者:奥田 英朗
  • 発売日: 2019/09/13
  • メディア: 文庫

 

 7つの短編と2本の対談がまとめられた一冊。題名の「ヴァラエティ」はそうした意味だろう。あとがきに書いてあったのだが、本書の成り立ちは各社に散らばって眠っていた短編を講談社の編集担当者がもったいないからと骨を折って一冊にまとめたらしい。なんとなくまとまりがないなという気がしたのも頷ける。まとまりはなくても、各編はさすがに奥田氏のもの。人の心、人情の機微が巧みに描かれ、ユーモアに少しの毒を含ませる。読んでいて楽しい。

 

『四畳半タイムマシンブルース』(森見登美彦:著/上田誠:原案/角川書店)

『四畳半タイムマシンブルース』(森見登美彦:著/上田誠:原案/角川書店)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

 炎熱地獄と化した真夏の京都で、学生アパートに唯一のエアコンが動かなくなった。妖怪のごとき悪友・小津が昨夜リモコンを水没させたのだ。残りの夏をどうやって過ごせというのか? 「私」がひそかに想いを寄せるクールビューティ・明石さんと対策を協議しているとき、なんともモッサリした風貌の男子学生が現れた。なんと彼は25年後の未来からタイムマシンに乗ってやってきたという。そのとき「私」に天才的なひらめきが訪れた。このタイムマシンで昨日に戻って、壊れる前のリモコンを持ってくればいい! 小津たちが昨日の世界を勝手気ままに改変するのを目の当たりにした「私」は、世界消滅の危機を予感する。

四畳半神話大系』と『サマータイムマシン・ブルース』が悪魔合体? 

小説家と劇作家の熱いコラボレーションが実現!

 

四畳半タイムマシンブルース

四畳半タイムマシンブルース

 

 

  こ・・・これは! なんと歴史改変SFではないか。「もしもクレオパトラの鼻が低かったら」というやつである。あるいはレイ・ブラッドベリの名作『サウンド・オブ・サンダー』に描かれた、過去にタイムトラベルして蝶を踏みつけてしまったために、元の年代に戻ってみたらタイムトラベル前と世の中が変わってしまっていたというテーマである。ただ、「クレオパトラの鼻」が、あるいは「蝶」が「エアコンのリモコン」になっているところがいかにも四畳半的ではある。

 遡ること15年、2005年1月に上梓された森見登美彦氏の名作『四畳半神話体系』はパラレルワールドものであった。それが登場人物を同じくして歴史改変SFに書き換わっている。しかも上田誠氏の戯曲にして映画化もされた『サマータイムマシン・ブルース』のリメイクでもある。そう演劇界の奇才・上田誠氏の腐れ大学生青春SFラブコメを文壇の奇才・森見登美彦氏が腐れ大学生四畳半化したらどうなるかという戯れが本作なのです。

 本作を読む前に小説『四畳半神話体系』を読んでいれば本作を2倍楽しめます。さらにアニメ版『四畳半神話体系』を視聴していれば2×2=4倍楽しめます。さらに映画『サマータイムマシン・ブルース』を観れば2×2×2=8倍楽しめます。

 登美彦氏の腐れ大学生ものが大好物の私めにとって、この読書時間は夢のようにめくるめく快楽の時間でありました。登美彦氏が例の如く言葉をもてあそび、戯れ言の連続で腐れ大学生の生態を存分に物語ってくれる。しかしその腐れ大学生にも、否、腐れ大学生であればこそのピュアな想いがある。それだからこそ切ないのである。はたしてその切ない想いは成就するのか。それをここで語るまい。「成就した恋ほど語るに値しないものはない」 けだし名言である。

 

【追記】

世にタイムトラベル・ロマンスの名作はあまたある。中でも私が好きなものは次のようなものである。『夏への扉』(ロバート・A・ハインライン)、『ライオンハート』(恩田陸)、『たんぽぽ娘』(ロバート・F・ヤング)、『ジェニイの肖像』(ロバート・ネイサン)、『美亜に贈る真珠』(梶尾真治)、『緑のベルベットの外套を買った日』(ミルドレッド・クリンガーマン)、『時をかける少女』(筒井康隆)、『満月』(原田康子)、『長持の恋(短編集・「ホルモー六景」第6話)』(万城目学)、『君の名残を』(朝倉卓弥)、『蒲生邸事件』(宮部みゆき)、『愛の手紙』(ジャック・フィニィ)、『ふりだしに戻る TIME AND AGAIN』(ジャック・フィニィ)。本作『四畳半タイムマシンブルース』もそのひとつに加えよう。たった一日のタイムトラベルであっても、いくらふざけていようとも、男の切なさがこれほど胸にせまる小説もない。

 

 

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

 

 

 

 

 

サマータイム・マシン・ブルース

サマータイム・マシン・ブルース

  • 発売日: 2014/09/24
  • メディア: Prime Video