佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

10月の読書メーター

2013年10月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4561ページ
ナイス数:2748ナイス

はなうた日和 (集英社文庫)はなうた日和 (集英社文庫)感想
山本幸久氏は幸せの危うさをご存じなのだろう。よくご存じで、その大切さ危うさ故、それが失われてしまうことの怖さが判っている。だからこそ、これほど大切に大切に小さな幸せを表現できる。幸せにはいろいろな形がある。loto7が当たる、ノーベル賞を受賞する、サッカー日本代表がワールドカップで優勝する、阪神タイガースが来年優勝する。でも山本氏の描く幸せはそんなありそうもないものではない。そこにあり、手を伸ばせば届きそうな幸せだ。心がほんわり温かくなるような幸せなのだ。言うまでもなくこんなイイ小説に出会うのも幸せ。
読了日:10月31日 著者:山本幸久


私の作ったお惣菜 (集英社文庫)私の作ったお惣菜 (集英社文庫)感想
宇野千代さんが88歳でいらっしゃる頃に実際に作られた料理の写真と、それについて書かれたエッセイが収められています。宇野さんは98歳まで長命を保たれた方です。その秘訣は店屋物ではなく、ご自分で調理されたものをよく食べていらっしゃったからかも知れません。なんといっても有名な「極道すきやき」は一度作ってみたいと思います。他にも「岩国鮨」「ぎせい豆腐」「鰯の天ぷら(宇野千代風)」「梅干し入りのチャーハン」「林檎の白和え」などなど、作ってみたい食べてみたいものがいろいろ。決して豪華ではないですけれど、絶対美味しい。
読了日:10月27日 著者:宇野千代


「論語」に帰ろう (平凡社新書)「論語」に帰ろう (平凡社新書)感想
私はこれまで「あなたの宗教は何ですが?」と尋ねられたら「無宗教です」と応えていた。しかしこれからは「儒教です」と応えても良いかなと思い始めている。守屋氏が書いていらっしゃるように「儒教」が宗教であるかどうかには疑問が残る。すなわち古今東西すべての宗教に共通する特徴「自分が理不尽な目にあったとき、その理由を説明する理屈を持っている」という面が孔子の教えにはないということ。でも無宗教で通してきた私にはそこがしっくりくる。つまり孔子の教えには他の宗教に共通するウソやまやかしがないと感ずるのだ。
読了日:10月27日 著者:守屋淳

 


珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)感想
軽く楽しみました。切なさに胸を焦がすこともなく、理不尽さに怒るわけでもなく、ロマンチックな夢を見るでもなく、スリリングな展開にはらはらドキドキするわけでもなく、あくまで軽く楽しみました。ミステリを楽しむのは作者と知的な会話を交わすようなもの。重い話題も悪くはないが、軽いやりとりにこそ心地よさがあるのも事実。悪くない。それなりの満足感があります。 
読了日:10月24日 著者:岡崎琢磨

 


下町ロケット下町ロケット感想
感動したっ! その一言。よこしまな大企業にいたぶられる真っ当だが弱小の中小企業。いたぶられればいたぶられるほど読むのをやめられない止まらない。池井戸氏は本当に憎まれ役を描くのが上手い。理不尽なふるまいに窮地に陥れられるたびに「クヤシイ、くそっ!」と思いながら、「そのうち見てろよっ!」と歯を食いしばりながら読む。自分はひょとしてMではないかと疑ってしまうほどいたぶられればいたぶられるほど興奮して頁をめくってしまう。池井戸氏お得意の最後は必ず正義が勝つ予定調和・日本人大好き水戸黄門的勧善懲悪の結末に涙。 
読了日:10月20日 著者:池井戸潤


総理の器量 - 政治記者が見たリーダー秘話 (中公新書ラクレ)総理の器量 - 政治記者が見たリーダー秘話 (中公新書ラクレ)感想
某銀行に招かれて著者・橋本五郎氏のご講演を聴き、プレゼントに本書を頂きました。本を読むことも大切ですが、人間やはり直にお話を聴くということが大切ですね。お人柄がよくわかります。TVで拝見するよりもはっきりと伝わるものがあります。すっかりファンになりました。本書では政治記者として見てこられた過去の総理大臣のうち橋本氏が語るに値すると判断された9名について、その器量を計っていらっしゃいます。私の見たところどうやら中曽根康弘氏、大平正芳氏をもっとも評価していらっしゃるようです。私も賛成です。
読了日:10月20日 著者:橋本五郎

 


はじめまして、本棚荘(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)はじめまして、本棚荘(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)感想
読みやすかった。といって理解しやすかったわけでは無い。といって難解なわけでも無い。文章は平易。意味もはっきりとわかる。でも現実感が無い。といって描かれているのは日常である。日常ではあるがこんな世界は見たこと無い。ありそうで無い、無さそうでありそうな、なんだか訳のわからない謎の世界。それが本棚荘である。吉田篤弘氏の小説『 つむじ風食堂の夜』と似た不思議に優しい世界だ。それにしても「トゲ」とは何なのか。もやっとして判然としない。解明する必要はないのかな。自分なりの解釈をすれば。あるいは、ただ感じれば・・・。
読了日:10月18日 著者:紺野キリフキ


華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)感想
生物に改変を加えるのは神の所行。人類がその所行に及んだとき、想定を超えた結果が待つ。なぜなら人類は神のように全知全能では無いのだから。上田氏は神の視点で終末を迎えた地球を描いた。この世界観は、ただただスゴイの一言だ。終末を迎えた地球、その極限状態にあっては人間的な主情など無駄を通り越して、ただのお荷物でしかない。しかし、上田氏はロマンティシズム、ヒロイズム、リリシズムにあふれた主人公に終末世界の希望を託した。人類滅亡が必至と思われる世界をタフに、しかし主情的に生きようとする主人公の物語はハードボイルドだ。
読了日:10月17日 著者:上田早夕里


華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)感想
リ・クリティシャス。最終的に二六〇メートルもの海面上昇。海の広さが白亜紀の頃にまでもどる現象。壮大な構想で創り出された未来社会にうなった。凄まじい環境変化に対応するため人をも含むあらゆる生物に改変を加えることを許した社会が行き着く先は? どっしり読み応えのあるSFです。睡眠時間が無くなってしまう。
読了日:10月11日 著者:上田早夕里

 

 


空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)感想
池井戸氏の描く悪役は本当にイヤな奴ですね。悪役の描き方が上手い、上手すぎます。傲慢で冷酷、利に聡く、自分に利益がある内は媚びてもみせるが、自分に不利に働くと見た瞬間手のひらを返す。信義や惻隠の情などかけらもない。これが桃太郎侍なら「テメエら人間じゃねえ、叩き切ってやる!!」とバッサリ切って捨てるところだ。権力も資力もなく、ただただ真っ当に生きてきた弱者が巨悪に立ち向かい、困難を克服し、やがて悪をやり込めてしまう結末に素直に良かったと思う。予定調和的結末ではあるがやはりイイ。今夜はすっきり眠れそうだ。
読了日:10月6日 著者:池井戸潤


空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)感想
国であれ、会社であれ、家族であれ、自分がそこに所属するとなればそこには壊れて欲しくない。もし壊れてしまえばかなり困ったことになる。つまり組織とその組織に所属する者とは運命共同体なのである。ではその組織を守るために倫理にもとる行為に及んでも良いか? 答えは”No!”だ。しかしことはそう単純ではない。組織人は社会的正義と己の組織を秤にかけて懊悩することになる。また、もしある組織が組織を守るために弱者を虫けらのように切り捨て、いや、切り捨てならまだしも生け贄にしようとしたら・・・。物語は佳境に入り下巻に続く。
読了日:10月6日 著者:池井戸潤


タイビジネスと日本企業タイビジネスと日本企業感想
今朝、著者のお一人にお目にかかり本書を頂き、早速、読ませていただきました。タイの産業、市場の状況の解説、日系企業として進出する際の異文化マネジメント、とりわけ人の育成と管理について示唆に富んだ内容でした。やはりタイには強烈な魅力がある。いまや日本には無くなってしまった「可能性」が満ちている。興味あるところの斜め読みになってしまったが、後は現地を直に見て感じることが大切なことだろう。
読了日:10月3日 著者:

 


嵐山吉兆 秋の食卓 (文春文庫)嵐山吉兆 秋の食卓 (文春文庫)感想
ぎんなんの飯蒸し、柿の変わりなます、信田巻き、かんぴょうの辛子味噌、さばと白菜のミルフィーユ、いわしのつみれオランダ風、塩じめさけとクリームチーズ・・・、作って食べたいものに付箋をつけていくと14種にもなってしまいました。この秋も休日は美味しいものを作って食べようと思います。わかりやすいレシピに美しい出来上がり写真、料理の基本の解説もあり、私のように基本をわきまえないぞんざいな厨房男子にはありがたい。
読了日:10月1日 著者:徳岡邦夫,山口規子

 


レディ・マドンナ (7)  東京バンドワゴン (集英社文庫)レディ・マドンナ (7) 東京バンドワゴン (集英社文庫)感想
東京バンドワゴン・シリーズももう第7弾になったのか。堀田家家訓「食事は家族揃って賑やかに行うべし」いいですねぇ。このシリーズを読むと一昔前には当たり前の光景だった大家族の良さが忍ばれます。生まれたからには幸せに暮らしたい。でもその幸せは一人のものでなく、家族揃っての幸せであった方がいい。場合によっては己の幸せよりも家族に幸せになって欲しい。人ってのはそういうものですね。その意味でウソってのは自分のためではなく、人のためにつくもんなんだよねぇ。それでこそ「LOVE」だねぇ。愛こそすべて。
読了日:10月1日 著者:小路幸也

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