佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『悪いうさぎ』(若竹七海・著/文春文庫)

2020/01/24

『悪いうさぎ』(若竹七海・著/文春文庫)を読みました。

 まずは出版社の紹介文を引きます。

少女たちはどこに消えたのか?
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ、待望の長篇!

女探偵・葉村晶は、家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事で怪我を負う。一か月後、行方不明のミチルの友人・美和探しを依頼される。調査を進めると、ほかにも姿を消した少女がいた。彼女たちはどこに消えたのか?真相を追う晶は、何者かに監禁される。飢餓と暗闇が晶を追い詰める……。
依頼人は死んだ』『さよならの手口』『静かな炎天』と連なる好評シリーズ。

悪いうさぎ (文春文庫)

悪いうさぎ (文春文庫)

 

 『プレゼント』(中公文庫)、『依頼人は死んだ』(文春文庫)に続く葉村晶シリーズ第3弾にして、待望の長編です。

 第1弾、第2弾と進むうちにだんだんキャラが立ってきていた葉村晶だが本作にしていよいよ魅力たっぷりなキャラに成長しました。葉村晶の基本的態度は無感情で冷淡、つまりニヒルである。しかし心の底が氷のように冷たいかというとさにあらず。それは彼女の態度であって、心の底には存外の熱さを秘めているのである。それが証拠に彼女は仕事ができる。心底虚無的であればいくら有能であっても仕事ができるはずがないのである。そんな彼女に本作でも次から次へと災厄が降りかかる。肉体的、精神的にギリギリのところまで追いつめられながら決してへこたれない。人に対して辛辣ではあるが、その実、優しさを秘めているというキャラクターに私はすっかり魅了されてしまった。かくなる上はシリーズ作すべてを読み切るしかない。

 ところで本日夜10時、NHK総合でドラマ「ハムラアキラ」がスタートしましたね。葉村晶役にシシド・カフカ。なかなかよかったと思います。