佐々陽太朗の日記

酒、美味しかったもの、読んだ本、サイクリング、旅行など。

『婚活食堂 6』(山口恵以子:著/PHP文芸文庫)

2023/06/29

『婚活食堂 6』(山口恵以子:著/PHP文芸文庫)を読んだ。

 まずは出版社の紹介文を引く。

「めぐみ食堂」が“婚活のパワースポット”としてテレビで紹介され、新規客で賑わう中、元占い師の恵は報道番組のゲストとして出演を依頼される。一方、常連客の一人にもようやく幸せな出会いが訪れたかに思えたが…。豚足のおでん、エノキ焼売、擂りおろし蓮根のスープ、冷凍豆腐の味噌煮など、美味しい料理と恵との会話で、幸せに向かって新たな一歩を踏み出していく人々を描いた人気シリーズ第6弾!

 

 

 

 まるでサブスクの動画配信サービスで連続テレビドラマを観るような感覚でどんどん読み進め、いつの間にかシリーズ第6弾も読み終えた。自分が「めぐみ食堂」のカウンターに腰掛け酒を飲んでいるように、物語が脳内で画として思い浮かぶ。客に供される肴の味を想像しながら、本当に酒を飲んでいる気分で読んでいるのだ。登場する酒は何度か飲んだことがあるものが多いので、その点でもリアリティーがある。ところが今巻では知らない酒が登場した。新潟の「謙信」、そして静岡の「駿州中屋」、福岡の「寒北斗」である。覚えておいて居酒屋の酒メニューの中にあれば是非とも試してみたい。

「めぐみ食堂」で供された肴の中で作ってみたいのは「豚コマと野菜のエスカベッシュ」。レシピを見るに「南蛮漬け」のようなものだろう。私は「南蛮漬け」が大好きなのだが、肉で作ったことはない。これは酒のアテに良いはず。あとは「オリーブ入りのポテトサラダ」。「ポテサラ」もまた私の大好物だが、このレシピによると生クリームとアンチョビを使っている。これは「ポテサラ」の新境地かもしれない。是非とも作ってみたい。さらに「エノキ焼売」もうまそうだ。焼売の皮の代わりにエノキの刻んだのをまぶして作る。前にもやしをそのように使って焼売風にしたことがあって、なかなか乙な味であった。今度はエノキでやってみよう。また皮代わりにエノキを使うのも良いが、皮は普通のものを使い、焼売のタネにエノキをたっぷり混ぜてもうまいのではないかとも思う。なんなら二種の焼売を作り、食べ比べるのも楽しそうだ。

 作中で恵と真行寺の会話に特に感じ入った場面がある。

真行寺「お前は人をどういう基準で判断する?」

恵  「信頼出来るか否か」

真行寺「俺もだ。具体的には?」

 恵はちょっと考え込んだ。元々勘が鋭かったので、第一印象が外れたことはない。だからそれ以上は考えなかった。

恵  「真行寺さんは?」

真行寺「金を貸せるかどうか。・・・・・金を貸せるかどうかは、その人間の経済力の問題じゃない。誠意の問題だ。例えば大友さんが俺に借金を頼んできたら、無担保で貸してやる。彼女は絶対に借りたものは返す人間だからだ。もし返せないとしたら、それは不慮の事故に遭ったとか、不可抗力の場合で、本人の責任は問わない。だから俺も運が悪かったと思って諦める。そういう意味だ」

 御意!! <(_ _)>