図書館の自由に関する宣言(抄)
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。
第1 図書館は資料収集の自由を有する。
第2 図書館は資料提供の自由を有する。
第3 図書館は利用者の秘密を守る。
第4 図書館はすべての検閲に反対する。
図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
『図書館戦争』(有川浩/著・メディアワークス)を読みました。
冒頭の引用は日本図書館協会の綱領であって、実際に存在する。
この小説が生まれるきっかけとなった宣言である。著者有川氏は2004年11月頃「図書館の自由に関する宣言」を見かけてこの小説のインスピレーションを得たらしい。
出版社 / 著者からの内容紹介を引きます。
───公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。
超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ!
敵は合法国家機関。
相手にとって不足なし。
正義の味方、図書館を駆ける!
笠原郁、熱血バカ。
堂上篤、怒れるチビ。
小牧幹久、笑う正論。
手塚光、頑な少年。
柴崎麻子、情報屋。
玄田竜介、喧嘩屋中年。この六名が戦う『図書館戦争』、近日開戦!
SF的要素あり、恋愛小説的要素もありの極上エンターテイメントです。
恋愛小説的要素というより「ラブコメ」と云った方がしっくりくるかもしれません。
小説に高尚さ、深さ、芸術性を求める方(いわゆる文学作品といった雰囲気を求める方)には読むことを薦めません。
しかし、この本が低俗かと言えばさにあらず。浅いかと言えばこれまた否。
登場人物の心根は高潔で、作者の書籍に対する愛は深いと観ました。
要するに有川氏はストレートなのですね。
単純でわかりきったことを小難しく書くような小賢しいまねをしない潔さがあります。
そうした潔さとは裏腹に有川氏が小説中に描く恋愛はイジイジしています。
若さ故、まっすぐで純粋な思いを持ちながら、それを素直に表現できない、伝えられない。
このもどかしさがもうたまりません。一度はまったらクセになります。
このシリーズ、しばらく離れられなくなりそうです。